「自分で作るハブダイナモ水力発電」 <1>(大人の週末工作) 中村昌広 (著)
2012/7/4 総合科学出版 単行本(ソフトカバー): 148p
Vol.3 No.1007★★★★★
1)このシリーズ、太陽光発電から始まり、水力、風力と進むらしい。
2)私たちは、生まれたときから電気のある生活が当たり前のように過ごしてきました。
そこへ、2011年3月11日、東日本を襲った、かつて経験したこともない大地震。想像を絶する大惨事となりました。しかし、大惨事はこれにとどまらず、津波から「原子力発電所の爆発事故」まで起こしてしまいました。
一時はどうなってしまうのかと、恐怖に震える日々を過ごしました。最も安全でクリーン原子力神話は、このときを境に消えてしまったのです。(中略)
未来を背負っていく子供たちに、電気が生まれる仕組みや活用方法を教えることで、電気の大切さも伝えることができるはずです。
そして、いざというときに、自分たちの作った電気を活用することができたら、それはどんなに素晴らしいことでしょう。p10~11「電気を手作りしてみませんか」
3)手作り電気というなら、やっぱり最初に頭に浮かぶのは、小さい時から身近かにある自転車の発電器だ。夜になればタイヤに押しつけて、頭を回せばヘッドランプが点灯する。最近は乾電池式もあるようだが、まだまだ実用だろう。
4)小学生だった昭和30年代は、家族も多く、自転車もよく壊れたと見えて、私自身は、なんどもこの自転車発電機を分解して遊んだ記憶がある。まんなかに回転式の磁石がついており、周りにエナメル線を何度も巻きつけたコイルが数個ついている。仕組みとしては至って簡単なものだ。
5)あの磁石は強力で砂鉄を集めるのに役立ったし、エナメル線は結構長くて、ゲルマニウムラジオのアンテナにしたりしたのだった。
6)しかしである。この本では、そのタイヤに押しつけるタイプ(リムダイナモ)ではなく、車軸そのものに組み込まれている「ハブダイナモ」というものを使うのである。聞いたことがあるようだが、どうも身近ではない。それに高価そうだなぁ。
7)と思ったが、そもそも自転車なんてほんの数万円のもの。その中の部品であるからそんなに高価であるはずがない。ネットで調べてみると、ほんの数千円、オークションなどでは中古なら数百円で出品されている。近くの自転車屋さんに行けば、中古の部品などただでくれるかも知れない。
8)もうここまで来ると、あとは水車として回る部分を考えればいいわけだから、仕組みとしては至ってシンプルということになる。即実行まで直結できそうだ。
9)でも、ここからがこの本の本領を発揮するところである。まず、水力発電システムを作ったところで、キチンとした発電量を得ることができるだろうか。そもそもそのシステムを何処に仕掛けるのだろうか。
10)わが家がこの地に転居してきた20数年前は、周辺には田んぼもあり、小さな用水路にちょろちょろ水が流れていたものである。あの水力でも十分発電できるはずだ。だが、もうすべて宅地化して、小川すらない。
11)それともう一つ、水利権というものがある。それぞれの水路には権利がある。水車を作ったからと言って、勝手にあちこち仕掛けることはできないのだ。固定的なシステムを常備するなら、キチンと調べなければいけない。ただ、携帯用でアウトドアなどの用に使うのであれば、大きな問題にはなるまい。
12)使用するバッテリーを12Vと6Vの2種類として、過放電コントローラーを制作します。p99「過放電コントローラーを作ろう」
13)シリーズの「自分で作る太陽光発電」では、充放電コントローラー(チャージコントローラー)は市販のものを使う設計だったが、こちらでは、手作りしようというのである。ただし、ハブダイナモには過充電はないとのことなのだが、その違いを良く理解しないといけない。
14)問題の原発が稼働を停止していても、そこにはまだ原子力発電所は存在しています。廃炉にするだけでも数十年も掛かるといわれています。
どんなに怒り、どんなに憤りを感じても、そこに人が生活していることも忘れないで欲しいと思います。
震災瓦礫の処理問題にしても同じことです。問題を抱えた人々と悩みを分かち合うことができないなら、人と共存する道を選べないなら、いくら再生可能な自然エネルギーの活用をと大きな声でいったところで、今までと何が変わるというのでしょう。
結局、自分だけが良ければそれで良いのかと考えてしまいます。
自然環境を壊すことなく、自然エネルギーと共存して行こうと考えるなら、まずは人との共存共栄があるべき姿ではないのでしょうか。p140「自然エネルギーは自然との共存」
15)自転車発電器を活用してつくる水力発電器がどれだけ実用になるかは未知数だが、わずかな手間で、自然との共存を考えることができるなら、やってみる価値はありそうだ。
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