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2013/08/14

「いい文章には型がある」 吉岡 友治

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「いい文章には型がある」
吉岡 友治 (著) 2013/03 PHP研究所 新書 208ページ
Total No.3079 ★★★★★

  最近、古い友人たちが次々に亡くなっていく。もっと年配者たちに言わせれば、このようなことは、10年周期で起こるらしい。60歳、70歳、80歳、そして90歳と、固まりになって、友人知人の葬儀が続くという。

さて、私の場合はどうであろうか。たしかに、続くときは続く。近親者の葬儀が続く時、後から数えてみると、1年足らずの間に7回続くのである。人間界の転生は、グループで行われることもあるらしく、一つのグループが連鎖反応のように雪崩をおこすように、消えて行く。

   このところ、私は、2回、友人の葬儀で弔辞を読んだ。一人は小学生からの同級生で、あとの一人は高校時代からのつながりである。弔辞を読む役割はそう多くないので、彼らは私という人生において、かけがいのない、極めて大事な友人たちであったということになる。

さてこの本の著者は、ごく最近亡くなった友人の葬儀の時に、まず一人目の友人として弔辞をあげた人物である。高校時代からの友人だというから、付き合っていた期間は私とほぼ同じ45年間ほど。私はこの人を存じ上げていなかったが、一人の友人を介して2次のつながりで、このような方とずっと以前からネットワークが形成されていたということになる。

  彼は、大学を卒業後、進学も就職もしなかったという。時代は1970年代中半である。私もまた、高校卒業後、進学も就職もしなかった。何だか、どこか似ている気がしないでもないが、あちらは天下の東大卒業後の話であり、その後やがては、シカゴ大学とかに「進学」されたのだから、地方の進学校リストの片割れにかろうじてひっかかっているような高校の卒業生である私などとは比較にならない。

  しかし、初対面でありながら、どこか深い親近感を感じたのは、もちろん古い友人の取り持つ縁があったにせよ、同じ時代を同じ世代として生きてきたという共通の基盤があったからだろう。そして、彼もまた若くしてインドを旅したということだから、いずれは何処かで触れ合う縁があったということになろう。(彼はバリに別荘を持っているらしい)

  文筆業として著者には40冊ほどの著書がある。出身地である地元の図書館には5冊所蔵されていた。この本はそのうちの最新刊となる。

若くして竹内俊晴演劇研究所に関わりを持った著者は、一時岸田戯曲賞を目指したこともあったようだ。この本は、手っ取り早く言えば、受験生のための小論文の書き方指南、と言えそうだ。かつては代々木ゼミナールの教壇に10年以上立っていたということだから、当たらずとも遠からず、にちがいない。

 この本、ベタなタイトルで、とっつきにくいかな、と最初はおもったが、どうしてどうして、洒脱で気が利いていて、今風であり、引用文などから察するに、著者は当然のことながら幅広い教養の持主である。 

文章には、主張型、ストーリー型、直感型、の三つの型があるという。早い話が、科学的論文、小説などの文学作品、自由な随筆やエッセイ、という3パターンをイメージするとわかりやすい。

 この分類を当ブログ流の3コン論としてとらえなおして見るのも面白い。コンテナとしての科学論文、コンテンツとしての文学的アート、コンシャスネスとしての神秘的(?)エッセイ。 

そもそもがこの本は、文章の書き方指南な訳だから、この本自体はコンテンツとしてのアートに関わるところが主題であろう。

 「いい文章」にめぐりあうことは楽しいことだが、カウンセラーとして訓練を受けた私などにしてみれば、人の表現物は必ずしも「いい文章」ばかりとはいかない。むしろ表現されず、本人に自覚さえされていない本質を見抜かなくてはならないこともしばしばである。

著者には他の著書も多い。他の本にも触れたあと、またこの本にも戻ってきてみよう。

 今日は近くの菩提寺に行って、盆供養の卒塔婆を受け取ってきた。友人は亡くなって間も無く、まだ三七日が経過したばかりだ。初盆というには、あまりにも早すぎるが、故人を思い出しつつ、今では一次つながりになった方の著書を開いて見るのも、なかなか意味深い。 

つづく・・・・予定

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