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2013/08/19

「だまされない<議論力>」 吉岡友治 <1>


「だまされない〈議論力〉」 <1>
吉岡友治 2006/08 講談社 新書  237p
Total No.3081 ★★★★★

 さて、次なる本は、この「だまされない<議論力>」と、「世の中がわかる『○○主義』の基礎知識」(2007/07  PHP研究所)である。「議論」と「主義」、どちらを先に読むことにしようか。これは、ニワトリが先という「主義」と、卵が先という「主義」の「議論」にも似ているかもな。

 共通の友人の通夜の席で同席した時、彼は小論文の指導が専門だと話し、インドにもたびたび行っているとも話していた。私も名刺を渡しながら仕事を説明し、また、若い時分からインドのOshoサニヤシンであることを話した。

 その時、彼の目が、そうあのティラノザウルスの目を連想するような彼の目が、キラリと光ったように感じた。口元には、親しげな笑みがあったけど・・・。

 私がOshoサニヤシンになったのはいまから36年前、23歳の時だった。Oshoは、そのイニシエーションの席で、私にこう言った。「議論をしている人たちに神が宿ることはない。感性を通じて神にいたりなさい」。(このことは前にも書いたし、そのうち再度書くつもり)。

 この時、インド人のOshoが使った単語は「アーギュメント」であり、この本の著者がいうところの「議論」とは、同じことなのかどうかは、定かではない。

 日本人の私は、議論といえば、論争とか、激論とか、言い争い、などのイメージがあり、著者がいうように、正しい「議論」ばかりが行われているとは感じていない。それがいいのかどうかの自分の意見は、後段に譲る。

 さて、もう1つの「主義」ってやつもどうなのだろう。つまりは「イズム」であろうが、なんでもイズムを付ければ、なにか深みがあって、哲学的なイメージがでてくる感じは確かにする。この言葉の尋常ならざる使い方があるのだ、と気づいたのは中学生のころだっただろうか。新聞広告にホンダ自動車が「ホンダイズム」ということを標榜していた。

 高校生の頃、たしか「週刊プレイボーイ」誌に「ヒロイズム」という特集があったことも覚えている。ヒローイズムではなく、「拾イズム」なのだ。つまり粗大ゴミにでた貴重な家具類などを「拾ってきて」立派に再生して生活を豊かにしようという「ライフスタイル」についてなのである。

 ことほど左様に、それからはありとあらゆる「イズム」という言葉にさらされてきたが、まぁ一番やっかいだったのは一時Oshoムーブメントが「ラジニーシズム」と称したことがあったことである。ほんの短期間だったにせよ、この件においても「イズム」という言葉の使い方には、敏感にならざるを得ない体質となっている。

 さて、ニワトリが先か、卵が先か、ということだが、人間はそもそも「主義者」として生まれてくるわけではないだろう。生まれて来てコミュニケーションをしているうちに、時には「議論」となり、自らの思考形態が「凝り固まって」から、「主義」となるのだろうから、今回は、まずは「議論」のほうから先に読んでみることにした。

 もっとも「主義」と「主義」が「議論」しても、それこそ消耗だけということにもなりかねず、それでは著者もこの混ざる状況に巻き込まれるだけだろう。著者は、これらの言葉を全体として、もっと柔らかいタッチで扱っていると、思う、ことにする。

 この間、著者が校長を務める小論文指南の学校についてのサイトや、彼自身が撮影した神保町とバリ島の写真を中心としたブログを見たりしているうちに、なんと幅広い「教養」の持ち主であろうか、と半ばあきれているところである。

 この本についても、いろいろと思うところある。アクセスすべきポイントというべきか、突っ込みどころは満載である。ネタにはことかかない。しかしまあ、もうすこし共通土俵も掃き清めないと、それこそ「議論」的なことも起きなければ、互いの「主義」性も見えてこないだろう。

 手元にあるもう二冊の著者の本にも、軽く目を通したあと、全5冊としてから、すこしゆっくり熟読(できるかなぁ)してみたいと思う。

<2>につづく

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