「Sue スー」 史上最大のティラノサウルス発掘 ピ-タ-・ラ-ソン他 <1>
ピ-タ-・ラ-ソン&クリスティン・ドナン著 冨田幸光監訳 池田比佐子訳 2005/03 朝日新聞出版 単行本 464p
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Pen Books「恐竜の世界へ。」(2011/07 阪急コミュニケーションズ)にあったティラノサウルスの全体骨格図を20分の1スケールに拡大して、スーパーから買って来たチキン丸鳥から採集した骨を基に、骨格モデルを作ろうとしている。
ひとつひとつをじっくり見ていくと、いろいろと疑問が湧いてくる。一体、「正しい」ティラノサウルスの骨格図というものは存在するのであろうか。推察するところ、それはない。
そもそも恐竜の化石が100%でてくることはほとんどない。通常は20%~40%ほどの化石が発掘されるだけで、あとは左右を対称的に補完したり、類似モデルから推測して全体像が作られているのだ。
その中にあっても、この第一発見者スーザンの名前にちなんで名づけられたスーは、ティラノサウルスとしては珍しく全体骨格の80%程の化石がでてきており、まさに恐竜中の恐竜として人気が絶大である。
この本は、そのスーを発掘した本人たちの記録である。ハードカバー本だけに情報量も多く、ゆっくり読み進めている。まだ70ページほど。
それでも、あちこちに、極めて重要な情報を見つけることができる。ティラノサウルスの鎖骨は左右つながっていたのかどうか、腹肋(ふくろく)はスーの骨格モデルには書かれているが、スーの発掘現場からは発見されなかったとか、あるいは、12mのスーに対して、プテラノドンは両翼を広げた場合の全幅は7m程度であっただろうとか。
限りなく精確に作ろうと思っていたのだが、そろそろ見極めの季節がやってきている。これは限りなく不可能なのだ。少なくとも6500万年前に死滅した生物の生態もまだまだ推測の域を出ず、モデル個体数も決して充分な量に達していないのだ。
わが「地球ザウルス」がほとんど、無知で滑稽な(今となっては)姿をしているように、今ティラノサウルスを作ってみたところで、いつか振り返れば、やはり笑止千万ということになるに違いない。
次のプテラノドン制作への足がかりをつかみつつ、そろそろティラノサウルス全体骨格の「組み立て」を始める時期が来ているようだ。
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