「ぼくは恐竜造形家 夢を仕事に」荒木 一成
荒木 一成
2010/02 岩崎書店 単行本: 168ページ
Total No.3095★★★★☆
ぼくの仕事は、実在した生物を再現させることです。でも、残っているのは化石だけだし、だれも生きているすがたを見たことはありません。目のかたちや筋肉など、想像が入っています。生きた本物の恐竜が見つからないかぎり、恐竜のほんとうのすがたは永遠にわからないでしょう。
発見された化石の骨や、あしあとなどの証拠をもとに、できるだけ科学的に、考えられるかぎりの可能性を想像することがたいせつだと思います。恐竜の基本は骨格です。化石で発見されるのは、ほとんどが骨ですから、それに肉づけしていくことになります。p37「恐竜の基本は、、まずは骨格」
「恐竜」というジャンルにハマる自体、当ブログとしては、まったくの予想外の出来事だった。ああ、それなのに、チキンの骨を使って、20分の1スケールの恐竜を、一体ならず、アパトサウルス、ティラノサウルス、プテラノドン、トリケラトプス、と、4体も作ることになるとは、思ってもみなかった。
いやはや、ハマったものである。友人知人に見せたりすると、「制作にどれだけ時間がかかったの?」と、よく質問される。これにはうまく答えられない。一週間というのは嘘だし、一か月というと、それにかかりっきりだったわけじゃないから、それも嘘になる。
上手で、慣れた人が作れば多分2~3日で作れるのだろうが、あれやこれやと首をひねりながら、しかも楽しみながら作るとなると、その構想や資料集めの準備期間を考えると、やはり、一体一か月というのは、まんざら嘘でもないような気がする。
しかしながら、こうして作ってみると、最初は、「チキンの骨で恐竜を作ろう」という発想自体が面白かったが、出来上がってみると、ひとつひとつ疑問が湧いてくる。特に、腸骨のあたりはどうなっているのだろう、とか、手足の向きや指の形はこれで良かったのだろうか、頭骨の中はどうなっているのだろう、とか、とにかく、分からないことがどんどん出てくる。
当ブログの、にわか恐竜フィーバーはそろそろこの辺で打ち止めにしたいのだが、フィーバーだけに、完治しないうちは、いつ何どきまた「発熱」するかわからない。用心しなければならない(笑)。
ぼくがもっとも影響を受けたのはウイリアム・スタウトという、アメリカンコミックのイラストレーターの絵と、「アフターマン」の著者で有名な地質学・古生物学者のドゥーガール・ディクソンの恐竜図鑑でした。
これらは恐竜を単体としてとらえず、自然のなかの一場面に登場させるというもの。その描写に脱帽したものです。p67「モデラーデビュー」
著者は1961年生まれの鍼灸師の仕事を持つ、恐竜造形家。若くして恐竜造形を始め、ついに中年になってから、専業として独立した。
1998年、とつぜんある会社から電話がありました。2000年に福井県勝山市にオープンする「福井県立恐竜博物館」の恐竜模型の制作に関することでした。(略)その博物館のオープンにあわせて、展示模型を作成することが決まったのです。(略)ふたつ返事でOKしてしまいました。でも、問題はそれからでした。p106「ぼくのプロジェクトX」
先日みたNHKテレビ番組「恐竜せんせい」 は福井県恐竜博物館」が舞台になっていたから、あの番組に登場していた恐竜の展示モデルなども、著者が関わっていたのかもしれない。
当ブログが、「チキンの骨で恐竜を作ろう」プロジェクトを一歩進めて、恐竜モデルを作ろうというシーンに突入するなら、著者が、惜しみなく公開している制作方法が多いに役立つに違いない。
著者のようにリアルに作るのは最初からあきらめるとしても、身近な素材で、自分の手で、本当にリアルなもの近づけていけるのだ、という「道」が示されたのは、すごいことだ。
ここまでやるか! と思う。ただ、骨はまだ化石が元になっているから、なんとかついていけるが、全体モデルとなると、大いなる「想像力」が要求されることになる。脚の向き、指の数、目の大きさなどは大体想定できるものの、その色や輝き、質感などは、ほとんど制作者やら造形家の、多いなる「想像力」のたまものなのである。
ぼくは、彩色にはアクリル絵の具を使っています。子どもたちの教室では、水彩絵の具を使います。もちろん恐竜の色やもようはわかりませんので、現在の動物、とくには虫類や鳥の色やもゆおを参考にして想像して書きます。
恐竜の色は、化石からはまったくわかりません。ですから、恐竜の色をどんなふうにぬっても、まちがいであるとはだれにもいえないんです。みなさんが作った恐竜模型の色が、正解かもしれないのです。
なんの手本もなく作った恐竜模型の色やもようは、たったひとつの自分だけのオリジナルになります。p149「これが荒木流・模型作りだ」
ああ、すごい吸引力のある、お言葉である。そうだなぁ、一体くらい作ってみようかな、などと、ちらっと考えてしまう、自分が恐ろしい。そこから、またまたハマってしまうかもよ。
実際には粘土をつかうのだが、その芯に針金と共に、発砲スチロールを使う、というところも面白い。実は、このところ、ゴミとなって捨てられてしまう発砲スチロールの再利用術を考えていたので、ちょっとクロスしてきた。
そうだなぁ、一体くらいは、いいかなぁ・・・・・・。
ああ、ヤバいヤバい。
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