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2013/11/29

「解き明かされる日本最古の歴史津波」 飯沼勇義 <4>

<3>からつづく


「解き明かされる日本最古の歴史津波」 <4>
飯沼勇義 2013/03 鳥影社 単行本 p369 飯沼史観関連リスト

いよいよこちらの本も精読するタイミングが到達しただろうか。スケジュール通り「2013年下半期に当ブログが読んだ新刊本ベスト10」が作成されていたとすれば、まちがなく、ぶっちぎりのベスト1にノミネートされる一冊である。 

1)「知られざる中世の仙台地方」 1986/11 宝文堂

2)「仙台平野の歴史津波」 巨大津波が仙台平野を襲う! 1995/09 宝文堂

3)「3・11その日を忘れない。」 歴史上の大津波、未来への道しるべ 2011/6 鳥影社

4)「仙台平野の歴史津波」 巨大津波が仙台平野を襲う!復刻版 2011/09 本田印刷出版部

5)「解き明かされる日本最古の歴史津波」 2013/03 鳥影社

と一連の著者の著書を読んでくると、内容には、大きくダブりがあるばかりか、同じ文章が校正されて再掲載されている部分もある。それもやむを得ない部分がある。1)は著者の前期的修作であろう。代表作と思われる2)以降、ほとんど「無視」されていた著者が、次回作として2010年末ごろまでにまとめ上げていたのが5)の原稿であった。ところが、2011年3月に大震災が起こり、緊急出版という形で5)の原稿の一部を含んで3)が、、と思える節があるからだ。

 震災を予言する形で4)が復刻版としてだされ、それから2年余りを経過してから5)が満を持して、ようやく発行された、という形になっている。ある意味、この「解き明かされる・・」は決定版と言える。

 しかし、在野の学者による研究ということであり、随所に非整合性が見られる。文脈、用語の統一、全体の配列。ことごとく、それぞれの専門家にかかれば、指摘されることも数々あるに違いない。

 しかるに、この本は、その非整合性がまた、大きな魅力となっている。体系化され、整合化され、正当化される中で、必ず落とされ削除されていく小さな分部がある。それを与えられ、読む側にしてみれば、極めて読みやすいのだが、それでは何か大事な部分を、完璧に読み落としてしまう。

 そもそもが、著者いうところの「歴史津波」は、言い伝えや伝説、神話の中の、読み落とされやすい部分の集大成であると言える。整合化、体系化、正当化されていくなかで、読み落とされてきた「バグ」を丁寧に拾いあげて、順列化し、再び編集しなおした。そこに現出したのは、大きなリアリティであり、それは見事に3・11という「証明」を得ることになってしまった。

 であるがゆえに、「バグ」の多いこの本に、私は大いに感謝したい。というのも、私は、この本の中の主旨に必ずしも沿ったかたちで「活用」しようと思ってはいないからだ。私の目下の関心は、西暦690年頃にあったとされる、著者が名付けるところの「仙台沿岸津波」の時代に、転生魂・多火手は、どう生きていたか、ということ。

 それには、郡山遺跡の情報と、熱日高彦神社、そして、アラハバキ、ヒタカミ、ホツマについての情報も必要になる。本書に紹介されている千葉富三氏の著書もおおいに参考になりそうだ。「日本の誕生 ホツマツタヱ-大和言葉で歌う建国叙事詩  甦る古代」(2009/07 文芸社)、「日本の真実 全訳秀真伝記紀対照-1300年の封印を解く 甦る古代」(2012/08 文芸社)など。

 660~690年 仙台沿岸津波 西暦724年多賀城国府建設。この国府建設の約50年前、名取、広瀬両河合流地点付近に国府と思われる仙台郡山官衙が造られた。しかし、大規模津波のため流出。ここで緊急の武隈館をつくる。p41「歴史津波時代の仙台平野の歴史津波」

 この仙台郡山官衙については、長島榮一「郡山遺跡 飛鳥時代の陸奥国府跡」(2009/02 同成社)の併読が必要である。さらには、2013年04月に仙台・地底の森ミュージアムで行われた「名取川と広瀬川ぞいの横穴墓」―黄泉国(よみのくに)からのメッセージで受けたインスピレーションが、重要となってくる。

 そして、その時代における、熱日高彦は、どうなっていただろう。

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 転生魂・多火手は、かの時代にあって、アラハバキ、ヒタカミ、ホツマと、 ヤマト、仏教、三論宗との対峙を目にしていたのではないだろうか。この本は、現生・多火手にとっても、極めて重要な情報の集まりである。特に、直径20~30mの円墳の集合体は、いずれ大きなキーワードとなるだろう。

<5>につづく

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