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2013/11/22

映画『スティーブ・ジョブズ』<1>


映画『スティーブ・ジョブズ』 <1>
2013/11
Total No.3122

 今日が最終日だ。毎日、孫と遊んでばかりもいられない。さっそくバイパス近くの郊外ムービー館に飛び込んだ。やっぱり映画館でみる映画はいいね。集中できるし、音響が素晴らしい。それにしても、客の入りはいまいちだった。

 ジョブズ関連の出版されている本は大体読んだので、永年アンチ・マック派だった私にも、極めて分かりやすい、最高に面白い映画だった。

 最初、かなり克明に青年時代やら、アップルⅡまでのプロセスをストーリー化しているので、2時間という上映時間に全部今日までの経緯を追いかけるのかな、と思ったが、やはり、iMacやiPadまでの時代で、あとは、最近の大きくなったアップルの会社を紹介して終わりになった。 

 わたし的には、これで大いに満足だ。あれだけの大きな人のうねりを作った人物だし、時代も40年という永きに渡る。それぞれの立場によって、それぞれの感想を持つことは当然だろう。特にアップルという会社の成り立ちについて関心ある人にはよくわからない部分もあるし、ごく最近の動きを知りたい人には不満だろう。

 でも、私は、こういう人物が、同時代的に生きていたのだ、ということを再確認できて、超ハッピーだった。カウンターカルチャーの流れにいたり、インドを旅したり、私のほうが若干年上ではあるが、同時代的で、ホントに共感して見ることができた。

 嫌な奴、という印象をジョブズは多くの人に持たれている。私も伝聞しか知らなかったが、まぁ「嫌な奴」というハードル越しに、ずっと彼を見てきたことは確かだ。この映画を見て、嫌な奴、と思った人もいたかもしれない。

 しかし、私は、この程度の「嫌な奴」なら、周囲にはいっぱいいたな、と思う。いやいや、私だって、誰かさんにとっては、嫌な奴だったかも知れないのだ。

 創業仲間をクリエイティブじゃないから、と首にしたり、妊娠したガールフレンドを、冷酷に放りだしたり、色々伝聞ではねじ曲がっているかもしれないし、また、これでさえ、少しオブラートをかけてあるかもしれない。だけど、こんくらいのことは、常にあったぜ。

 それを乗り越えての、スティーブ・ジョブズの56年7ヵ月の人生は、素晴らしいものだったと思う。かつてはジョブズの憧れだったゲーリー・スナイダーも、ジョブズを絶賛している。

 昨年逝去したスティーブ・ジョブズについては(スナイダーは)次のように語っている。

 「彼は生きていたら、コンピュータやiPadを超えて、発明しつづけていたと思います。たぶん、彼は多くの愚かな問題から世界を救うための道を見つけ出し、われわれみんなを掬ってくれたかもしれません。

 彼の偉大な才能は、ただ世界最良のコンピュータを製造することだけに使われたのです。われわれはそのような人々をもっと必要としているのです」

 このコメントには、カウンターカルチャーの中心人物として60年を経て、自らの文化的業績を見届けてきた自信が感じられる。 「ゲーリー・スナイダー・イン・ジャパン」「現代詩手帖」 2012年7月号特集p46 高橋綾子「カウンターカルチャーはどこにでもある」

 収束過程にある当ブログでは、科学、芸術、宗教、の三つのアイコンを、三人の人物に集約しようとしている。ひとりOSHOは最初から決まっていたが、芸術分野では我が竹馬の友・石川裕人が急上昇している。そして、今回、この映画を見て、当ブログにおける科学の分野のアイコンは、愛すべきスティーブ・ジョブズにしようと思い始めた。

 思えば、この三人、必ずしも、これら三つの分野のどれかに大きく偏っていたわけではない。それぞれに三つの要素を持っていた。そして、幾分かづつその配合は違った。そして、共通していることに、彼らは60歳前に亡くなった。OSHO58歳1ヵ月、石川裕人59歳1ヵ月、そしてジョブズ56歳と7ヵ月。彼らより、私のほうが長生きしてしまっている。

 1995年には、三つの出来ごとがあった。阪神淡路大震災とオウム真理教事件と、そしてウィンドウズ95の発売だった。それから16年経過した2011年にも三つの出来ごとがあった。東日本大震災と、フクシマ原発事故と、スティーブ・ジョブズの死亡、である。私には、この二つの年代が、妙に対応しているように感じられる。

 なにはともあれ、この映画を見て、あらためて、スティーブ・ジョブズと、その時代性や、ネット社会の在り方について、もう一度ゆっくり捉え直してみようと思った。

<2>につづく

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