「原子炉時限爆弾」 大地震におびえる日本列島<3> 広瀬隆
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「原子炉時限爆弾」 大地震におびえる日本列島<3>
広瀬隆 2010/08 ダイヤモンド社 単行本 308p
★★★★★
当ブログ選定「3・11三大予言書」のひとつ。今回、他の「赤本」飯沼勇義「仙台平野の歴史津波」、「黒本」NHKスペシャル「巨大地震」と並べて、こちらの「黄本」も再読してみた。
読みなおしてみて、3・11東日本大震災の「予言書」としては、すこし不足していると思った。随所に、地震、津波、原発の負の連鎖が書いてあり、東日本や福島原発にも触れてはいるが、むしろ、その原発の中心は西日本や中部日本以南に偏っているようでもある。
しかしながら、逆に考えると、それらの地域にとっては、この「予言書」はそのまま、予言書として生き残っている、ということになる。3・11をにらみながら、はてさて、次なるはどこか、という悪夢のような負の連鎖が、ここには描き出されている。
NHKスペシャル「巨大地震」のディレクターは、反省している。
私たちは、本当に”警鐘”を鳴らしえていたのか。1000年に一度の巨大地震の存在を知りながら、どこまで本気で伝えられていたのか。あのとき、なぜ貞観地震をもっと深く掘り下げてメッセージを発信できなかったのか。地震のあと自問した。「巨大地震」(2012/08 NHK出版)p181梅岡宏「あとがきにかえて」
そもそも、八百屋お七の江戸時代なら、放火をすることも死罪に値する重罪であったが、いたずらに「警鐘を鳴らす」ことも、同じくらいの死罪に値するほどの重罪であった。簡単に警鐘を鳴らしてはいけない。絶対的確信があってこその警鐘なのである。
すくなくとも、NHKディレクターには、死罪を覚悟するほどの「確信」はなかったが、広瀬隆には、「死罪」をものともしない蛮勇が潜んでいた、ということになる。飯沼勇義に至っては、自らの「確信」を通り越して、「実証」せんがために、わざわざ最も危険な沿岸部に居を構え、からがら命は取り留めたものの、「見事」津波被災して、その潔い「生きざま」を提示した。
一連の広瀬隆の出版物は、ともすれば「死罪」に匹敵するような「警鐘」である。「良識」派は、このような人物を敬して遠ざけてしまう。それも無理はない、と私は思う。私もそうだからだ。同じ反原発でも、ちょっとトーンを押さえた「超確信派」小出裕章の一連の著作のほうが、おちついて読むことはできる。
もし3・11がなかったら、広瀬隆はトンデモ本を書くSF作家の一人と見られても、仕方なかったかもしれない。現実に、飯沼勇義は、ほぼ100%「仙台平野の巨大津波」を予言していたにも関わらず、16年間、無視されていた。(私なぞは、その存在もまったく知らなかった。)
3・11があった「おかげ」で、飯沼勇義も広瀬隆も「死罪」になることもなかったし、トンデモ本に分類されることもなくなった。いやむしろ、彼らに学ばなくては、誰に、何を、学ぶというのか、という風の移り変わりである。
これらの「まつろわぬ」人々の反逆のスピリットをまなばなくてはならない。
NHKスペシャルのディレクターには、この「反逆のスピリット」が不足していた。公共放送の「良識」的社会人という「まつろう」人に、真実の「予言」はできない。死罪を覚悟した「警鐘」など、叩けるわけがない。
本来、報道界の人間の頭が悪いということは考えられない。あなたたちは、この問題について「自分で真剣に調べたことがない」だけではないのですか。ならば、みなさんが考え始めれば、きっと、本書と同じ結論に到達するものと信じている。
その時、原子力の危険性について、報道したり批判するだけで満足しないでいただきたい。原子力とは、原子炉の運転が止まるまで危険なのである。批判しても、原子炉が動いていれば、結果として、何の意味もないことである。原子炉を止めるまで、私たちの危険は去らないからである。私はこう訪ねたい。
日本人は、なぜ死に急ぐのか?
いま必要なことは、地下激動する日本列島に住むすべての人が、原発の耐震性の議論に参加することである。国民すべて、赤児から高齢者まで、男女を問わず、誰もが一瞬で人生を奪われる被害者になる可能性を持っているのだから、「原子力についてよく知っている」と自負する人間に任せないで、自分の手で調べて、自らの頭を使って考えるべきである。
ここまで原子力発電所を大地震の脅威にさらしてきたのは、この「原子力についてよく知っている」人間たちなのだから、その人間たちに任せてはいけない。まさに醜議員(ママ)・惨議員(ママ)と呼ばれるべき政治屋たちが、これまで一体何をしてきたというのだ。
今は「原子炉廃止法案」が国会に提出され、直ちに原発震災の危機から国民を救うべき時なのである。(後略)2010年8月6日 広瀬隆 p283「電力会社へのあとがき」
痛みいる。
この本、役目は終わっていない。いまだに警鐘を鳴らし続ける「巨大予言」本である。精読すべし。して、行動すべし。
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