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2013/12/02

飯沼勇義「知られざる中世の仙台地方」<2> 

<1>よりつづく

 

Photo_2 
「知られざる中世の仙台地方」
 
<2>
飯沼勇義 1986/11 宝文堂 単行本 300p

 

 前回この本に目を通したのは、3・11東日本大震災の半年後、図書館で、いわゆる「赤本」こと「仙台平野の歴史津波」(1995/09 宝文堂)を見つけ、同じ著者の本として読んだのだった。当時は、「津波」を追いかけていたので、あまり津波についての記述がないこの本は、興味は魅かれるもの、どうもタイミングじゃない、と後回しになってしまったのだった。

 

 今回あらためて、この本に目を通し、やはり、飯沼勇義という人は、決して、津波研究家でも、「津波研究に生涯を賭けた」人でもないと思う。

 

 本書の書きだしは、昭和26年4月から取り組み、当初、仙台・六郷地域の史書著述を目的として研究調査に当たりました。当時、藩政時代の「六郷」に焦点を合わせて資料の蒐集と考証を試みたら、六郷の中の「二木」の存在が大きな課題となって史実究明の鍵となってきたことが分かり、漸く、草の根をわける多面的な考証を積み重ねていったら、二木→三本塚→藤塚、即ち、土師塚郷という大きな郷が、古代末期から中世期を通じて、仙台地方の中で大きな役割を果たしていたことが分かりました。p200「おわりに」

 

 昭和26年から、ということだから、1930(昭和5)年生まれのこの方21歳の時からである。師範学校を卒業後、この地方の教員をしながら、たしかPTAの資料作りで、郷土の歴史を調べようということになったようだ。それから幾星霜、仕事を十回変えたということだが、内容はよくわからない。時には、洋品の行商のようなこともやったようでもあるし、近年では、フルボ酸鉄の「特許肥料」の販売を手掛けているようでもある。

 

 いずれにせよ、ちょっとしたきっかけが、結局は、「仙台地方の歴史津波」を浮き掘りにすることになり、ひいては、3・11東日本大震災の「大予言」に繋がってしまった、ということである。

 

 仙台地方の中世史を著述するということは、古代の仙台地方を知るということからはじめられるのであるが、ここでは、特に仙台地方の条理制を具体的に研究したうえで、仙台郡山政庁、広瀬、名取川、古代から中世の土師塚郷との関係を考証していったら、何かしら大きな史実を見え出せたのではないかとも考えた。

 

 しかし、今回、仙台地方の中世史の一分野という著述のため、古代仙台の条理制の具体的な考証は、一応、回避させて頂き、あくまでも仙台地方の近世史への礎としての中世史の一考察としてこのような著述にしたのであります。p201「同上」

 

 この書から9年目にいわゆる「赤本」がでるのであり、その間にさまざまな研究成果があがったであろうが、1995年の阪神淡路大震災の発生を受けて、その「成果」は、仙台地方にも、巨大地震と巨大津波が迫っている、という警鐘となったのである。歴史学者というより、すでに宗教家の域に達しておられたような雰囲気がある。

 

 いずれにせよ、著者の著書「仙台近郊の歷史資料 第一報」(地域社会研究会刊)は 1953(昭和28)年に発行されており、地域の図書館に所蔵されている。残念ながら館外持ち出し禁止なので未だ拝読していないが、いずれ近日中に読ませていただく予定。

 

 そして、すでにこの「知られざる中世の仙台地方」を発行された時には、56歳になられていたわけであるが、この時点でもすでに「古代の仙台地方」についても、あらかた研究は進んでおられたのであろう。その成果は、今回の「解き明かさる日本最古の歴史津波」2013/03 鳥影社)にも確実に反映されたものと思われる。

 

 そこに大きく浮上してきたのは、「津波」と、そして荒脛巾、日高見、秀真伝の、一連の「ホツマ」である。次回、この方の著書を拝読できるのであれば、この「ホツマ」に大きく的を絞った一冊をお願いしたいものである。すでに高齢の方である。どうぞ、健康に留意されて、地域の後続の指導にあたっていただきたいものだ。

 

 いや、地域限定といわず、地球全体のスピリチュアリティについて語りつくしていただきたいものだ。

 

 なにはともあれ、込められたエネルギーがはちきれんばかりに飛び出してくる一冊である。

<3>につづく

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