a mini magazine 「すくりぶる」 12
「すくりぶる」12号
阿部清孝 1972/03 すくりぶる社 ガリ版ミニコミ p98
Total No.3134★★★★★
見慣れた町のあちらこちらに
忘れ去られた石仏たちよ
呪われし末裔に
取り着く事すら疲れ果て
三途の川を
何処まで流され行かんとするのか
全て永劫の中に鎖されんとする時
その呻きを己れ以外の
一体如何なる者に聞かそうとするのか 裏表紙
飯沼史観の中に、名取川河畔の村々にある板碑についてのことが書いてあり、そういえば、小さい時にも、自分の周りにもあったなぁ、と思い出した。そのことについては、博物館に勤めている友人の妹さんも関わった、地域の板碑の調査があった。たしか、その一冊がわが書庫にも、あったはずだ。
そんなことを思い出しながら、自分が高校生時代に出していたミニコミのことを思い出した。詩らしい詩もかけなかったが、何事かを表現したいとは、常に思っていた。
この一節は、我が家の南東の角の辻に、多分10個くらいまとまってあった石仏たちを見ながら作ったものだった。あれは、お墓だったのか、板碑だったのか、当時の私にも、現在の私にもわからない。
しかし、もともとお墓があるところではなく、私が高校生時代には、代々墓が作られ、そこに基礎などとして改葬されていった。石仏ばかりか、私自身も忘れていたことであるが、この度、我がふるさとにも津波が押し寄せ、一気に、記憶が噴き出した。
今の私には、町のあちらこちらに忘れ去られた石仏たちや板碑たちの、呻き声が、聞こえ始まったような、そんな気がする。
高校生時代に作っていた個人ミニコミは12号まで続き、この詩を最期に終了した。その後は、コミューン「雀の森」での季刊雑誌「時空間」へと続いていった。
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