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2013/12/07

「原発ゼロ社会へ! 」新エネルギー論 広瀬 隆 (著)

広瀬 隆 2012/11 集英社 新書: 256ページ
Total No.3127★★★★☆

 当ブログ選定「3・11三大予言書」のひとつ。今回、他の「赤本」飯沼勇義「仙台平野の歴史津波」、「黒本」NHKスペシャル「巨大地震」と、「黄本」広瀬隆「原子炉時限爆弾」 大地震におびえる日本列島。その黄色本の後続の中の一冊。著者の本は多くあるが、現在図書館で読める本の中では新しい方である。

 私は正直言って、この本を読みながら、明るい未来の理想郷より、石川裕人が描くところの「時の葦舟」三部作「未来編」を思い出していた。AD2275年、地球に人類は生きているだろうか。あと260年余りのち、地球人はもやは地球を離れているのではないか。そして、かつて生命体として繁殖した人間は激減しているのではないか。

 原発ゼロは、すでに標語としては、「陳腐」なものになっている。地元民や過激派、共産党から、一部地方自治体の長まで、堂々と反原発を述べ、原発ゼロ社会を説く。ごく最近では、自衛隊出身の宮城県知事まで、脱原発を口にする時代である。

 だが、その標語とは裏腹に「原発ゼロ」は実現する方向にはない。安部政権は、ベース電力としては原発は必要として、停止中の各地の原発の再稼働を虎視眈々と狙っている。日本の原子力技術を輸出の要にしないと、日本経済の再生はあり得ない、という論法だ。

 この本の主旨は、即「原発ゼロ」にせよ、という趣旨である。もっともなことだ、と賛成する。即「原発ゼロ」にしても問題ない、とするその主旨には大賛成だが、そうならない。何故か。

 何故か、など問うていても仕方ない、という諦めさえある。もう、無理なのだろう。即原発ゼロにしたところで、すでに、この20世紀最大の汚点、原発の負の遺産は、累々と積み上がってしまったのだ。その処理のために、あと何十万年もかかるのだ。

 何十万年もかかって原発汚染物質の処理をするより、どうやら人類は、この地球を捨ててしまったほうがいいようだ。

 嘆いてばかりもいられない。我が家でも、水力発電、風力発電、小型太陽パネルなど、小さな実験を繰り返しながら、その実績を調べながら、ようやく太陽光パネルを屋根に上げたばかりである。

 その成果のレポートは今後も続けるとして、我が家でのちっぽけな消費電力がどうのと言ってみたところで、この人類の驚くべき貪欲さと頑迷さにおいて、結局は、自滅する以外にないのではないか、と、おそろしくなる。

 エコウィルと並んで、家庭用コジェネの理想的な発電機とされるのがエコファームである。この分野では、想像を超える事態が進行しているようだ。多くの人の認識が改まったのは、エネルギー報道の最先端を走るガスエネルギー新聞の一面トップに、「ビックカメラ 量販店でエネファーム」の見出しが出た2012年7月11日のことであった。p97「エコファーム(燃料電池)に期待される未来のエネルギー」

 著者は、個人的対策としては、みずから自宅でも導入しているガスを利用したエコファームを推奨している。今後、太陽光パネルの次は、我が家でもこのシステムを考慮中ではあるが、所詮、セーブできる電力は微々たるもので、気休めにもならない。

 即原発ゼロを提言する小出裕章氏などに比較すれば、著者の論法はすこし乱暴である。どこか野武士的、政治家崩れ的かけひきが感じられる。この人を敵に回したくはないが、味方につけたとしても、本当に我が身を守ってくれるかどうか、分からないところがある。

 自然エネルギーとして大々的に普及できるエネルギー源は、大都会であっても、ひなびた町や村でも、住宅でもビルでも設置でき、何ら自然界に支障をきたさない太陽光発電・太陽熱利用である、と言える。p171

 そして、この太陽光パネルは良い面は多くあるが、完全なる救世主にはならないことを指摘するし、私にもその意味はよくわかる。シェールガスなどの新しい技術も各種開発されてきているが、私などのドシロートが、いちいち調査検討するような問題でもなさそうだ。

 いずれにせよ、当ブログは、人類の未来について、特にそのエネルギー問題については、まったく楽観的な態度をとることはできない。

 一昨年に、「原子炉時限爆弾---大地震におびえる日本列島」(ダイヤモンド社)を書いたのは、静岡県の浜岡原発中心だったが、実際には、日本の地殻変動の変化を調べていたので、太平洋プレートが激動している状態は大地震が到来する兆候だと直感して、本心からこわかった。だから太平洋岸の原発はアブナイと警告して、原発のある宮城県・福島県・青森県・茨城県を学習会で回っていた。

 なぜその言葉が的中したかを、マスメディアは真剣に考えるべきである。大地震の発生は、予言ではなく、誰もが気づかなければならなかった科学の真理だからである。p205「地球の気温と電力コストの予測」

 著者の「予言」は終わっていない。

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