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2013/12/12

「多賀城跡」―古代国家の東北支配の要衝 (日本の遺跡) 高倉 敏明


多賀城跡」ー古代国家の東北支配の要衝 (日本の遺跡)
高倉 敏明 (著) 2008/09 同成社 単行本 178ページ
Total No.3140★★★★☆

 こちらもこのタイミングで再読しておこう、と思って、自分のブログをググッてみたが、初回のメモがない。どうやらメモしたのは 進藤秋輝「古代東北統治の拠点 多賀城 」(2010/02 新泉社)だったようだ。こちらの本も手に取ってみたのは確かだが、メモするまで至っていないようだった。

 自らの生活圏にかかわる地元の歴史は知りたいと思うのが自然であるし、その場所がなにかかにかの言われがあるものであって欲しい、というのは、自然な人間の感性であろう。さまざまな可能性を探りたい。

 しかし、その期待が過剰になれば、和田家文書騒動や旧石器ねつ造事件などが起きてしまう。自らの意識に、アクセルとブレーキのバランス感覚を常に持ち続けなければいけない。そして、やっぱり、人間は、素直で、正直で、誠実であることが肝要だ。

 著者は長年、多賀城の遺跡発掘に携わった人で、すでに何十年も経過している。私のような門外漢の、性急な期待とは裏腹に、その研究成果を挙げることはそうたやすいことではない。地道で精緻な研究が長くつづくのである。

 私なんぞは、その「成果」だけが欲しいわけで、しかも、自分に関係ない「成果」などに目もくれない悪いくせがある。

 多賀城の城下に造られた方格地割りの街並みは、強制的な都市計画事業であり、多賀城のとともに東北に対する律令制支配の浸透を意味していると考える。多賀城は、都に次ぐ古代第二の都市であった。p162「古代都市多賀城の建設」

 こんなところに、「都に次ぐ古代第二の都市であった」と書かれていると、舞いあがってしまうが、ホントかな、と眉唾にもなる。少なくとも、この本と著者にはかなりの信ぴょう性があると思われる。にもかかわらず、「第二の都市であった、可能性がある」ではなく、「第二の都市であった」と断定している。

 すごいな、と思う。これが本当なら、私なんぞは、いままで何をみながら、多賀城のバイパスを通り過ぎていたのだろうと思う。そして、多賀城、って一体なんだったんだろう、と、改めて問い直してみようと思う。

 関連すれば、多賀城に先立つところの仙台太白区の郡山遺跡とはなにか、さらには角田の郡山遺跡はなにか、そしてやっぱり、熱日高彦神社とはなにか、というところまで、遡っていくのだった。

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