「謎の秀真伝」―神代文字で書かれた原日本の実像 佐治 芳彦<1>
「謎の秀真伝」―神代文字で書かれた原日本の実像
佐治 芳彦 1986/06 徳間書店 単行本 306ページ
Total No.3144★★★★☆
我が家の天井裏から出てきた本(笑)。まんざら嘘でもない。このところ家族の増減などで部屋割を変更しつつあり、余計な家具や書類を納めるべく、天井ロフトを開拓中である。そして、とりあえず出来上がった空間に、段ボールに詰めた書籍類を乱雑に積み上げてあるのである。
これら一連のホツマ本もザックリ段ボールに入れて天井裏に挙げておいた。ほんの数ヶ月前のことである。最近開くこともなかった書たちであるが、「捨てるに捨てられない」本たちである。その中の一冊。
二人の霊能者によって霊視された蔵王王朝も、けっして、一笑にふされるべきヨタ話とはいえまい。私は、秀真伝のいう日高見高天原こそ、この「幻の蔵王王朝」ではなかったかと考えている。遠からぬうち、必ずや「蔵王紀(ザオウノフミ)」ともいうべき古史古伝が発見されるのではあるまいか。p302「はるかなり日高見の国」
このエンディングが一番印象に残っている。おそらくホツマについて知ったのは、この本が最初であっただろう。発行は1986年だが、読んだのはそれより遅かったと思う。いわゆる佐治芳彦シリーズや古史古伝ブームの中で目を通した一冊だったので、他の本との関連の中で、読み「疲れて」、それからほとんど読まなくなった本たちである。
今読みなおしてみると、「それなり」に面白い。いわゆる東日流外三郡誌などの和田家文書と並列して語られているので、2013年の今日読むとなれば、雑味が多すぎて、あらあら、と思ってしまうところも、かなり多い。だが、それでも、この本の再読でもって、初めて知る情報も多い。
さて、上の部分がず~~と、私の心に引っかかっていた。「蔵王紀(ザオウノフミ)」とは、佐治ひとりの勝手なネーミングだが、その気持ちはよくわかる。福島会津若松生まれの佐治は、どこか東北人の心を持っている。
3・11直前、私は、蔵王のふもとに小さなコミューンの可能性を探るべく、山暮らしを始めようとしたが、その時、ひょっとすると、「蔵王紀(ザオウノフミ)」と出会うかもしれない、と思ったことがある。
あるいは、バイパスを走りながら蔵王を見上げ、この辺のどっかの民家にあるかもなぁ、と思ってみたり、大河原の被災した民家での古書の展示会があった時、ひょっとするとでているかもな、と期待したこともあった。
さらには、蔵王(Z)と阿武隈川(A)沿岸の9自治体で構成する子供たちの演劇集団AZ9(アズナイン)ジュニア・アクターズのミュージカル(石川裕人原作)をみながらも、どこかで、この「蔵王紀(ザオウノフミ)」のことを考えていた。
3・11震災直後に、野草社の石垣雅設社長が多賀城を散策した時、ホツマの話題がでたので、「蔵王紀(ザオウノフミ)」というのはありませんか、と同行しながら聞いて、一笑に付されてしまった。そんなのあるわけないじゃん。
そうかなぁ、と、ず~と不満だった。
「仙台平野の歴史津波」の飯沼史観にであったのは、その直後のことである。
古史古伝は数多あるが、ことホツマ一本、という人は、それほど多くない。あるいは、ヒタカミを語る人も多けれど、仙台中心説を唱える人も、そう多くない。ましてや「蔵王王朝」などと「仮称」のついているロマンに、リアリティを持ってつきあってくれるひとは、ゼロである。
私の心のどこかに積っていた不満に、いきなり光を当ててきたのが、飯沼史観であり、いまや、「解き明かされる最後の歴史津波」は、私にとっての「蔵王紀(ザオウノフミ)」とでもいうべき存在になりつつある。
とくに、熱日高彦神社をヒタカミの頂点とするあたりに、私の琴線は、ピークを迎えた。なるほど、角田もまた蔵王と一体になった地域である。阿武隈川も白石川も、蔵王地域を流れているのである。
角田市の史誌の古いものを見ても、実際には熱日高彦神社の中には「何も残されていない」となっており、なぜにこの神社が式内社として、古代より厚く守られているのか、わからない状態である。たぶん、神社に尋ねても、ホツマに直結するような証拠品はでてこないだろう。
しかし、「何も残っていない」ということは、どこかに「流失」している可能性もあるのだから、ひょっとすると、そこらの古物店の店先か、雑多な研究所の鑑別できない資料のなかのひとつとしてまぎれているかもしれない、などと、ちょっと考える。
でも、何もでてこなくても、考古学や歴史津波学、あるいは郷土史学などのたぐいから、次第次第に、このホツマの「信ぴょう性」が、今、本当に解き明かされつつあるのではないか、と、ふと「熱」いものを感じる。
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