「日高見の時代」―古代東北のエミシたち
「日高見の時代」―古代東北のエミシたち
河北新報社 (著) 1990/07 河北新報社 単行本: 226ページ
Total No.3125★★★☆☆
「日高見の時代」―古代東北のエミシたち
野村 哲郎 (著) 2010/07河北新報社 単行本 211ページ
Total No.3126★★★☆☆
この本、20年を経て改訂版がでている。図書館には二冊並んで収容されていた。私は以前の初版本を蔵書している(仮に1版としておく)。改訂版(仮に2版としておく)も、大きく変わったところはないが、そもそもは、新聞に3ヵ月に渡って掲載されたものの再編集本であり、新聞社の著書名で出版された。
2版になって、その新聞記者の個人名が著者となって再版された。そこにどのような意味があるのか、正確には測りかねるが、この本が1990年と2010年では、出版される意味は微妙に違ってくるだろう。
この20年で文献研究や発掘調査がさらに進み、研究者の世代交代もあって、本書の記述にはない新たな事実や学説が多々提示されていることも申し添えます。2版p4「はじめに」
現在、当ブログは、アラハバキ、ヒタカミ、ホツマの世界に再突入しようとしている。ヒタカミは、当然重要なキーワードの一つである。しかしながら、この本に書かれているところの「日高見」は、8世紀から14世紀あたりの東北の「戦争」の歴史であり、これを、現在の当ブログが興味深く見ているわけではない。
むしろ、この本で展開される前の7世紀終末あたりまでの東北の「ホツマ」の世界をこそ訪ねたいと思う。勿論、探索の仕方によっては、7世紀までの東北だって「戦争」の連続である。謀略とか、戦いとか、血塗られた歴史には、本当はあまり関心はない。
ホツマツタエ、という言葉もある。それは、勝手な解釈だが、ホツマを伝えた歴史書、という位置づけにしておく。歴史書、あるいは歴史に関心があるのではなく、古代東北に生きていた人々の真実=ホツマにこそ、関心がある、ということにしておこう。
勝手な位置づけだが、仏教の仏僧法にならって、アラハバキ=仏=ブッタ、ヒタカミ=僧=コミューン、ホツマ=法=瞑想法、という拡大解釈で接していくことにする。この順番は、一般的には、仏法僧となっているが、当ブログでは、仏僧法の順番とする。
かつての古代東北にも、ブッタたちはいたはずであり、その影響下に人々はコミューンを作っただろうし、そこで伝えられた瞑想法があったはずだ、という、仮説である。
したがって、あまり血塗られた戦いの歴史は好みではない。また、ヒタカミをコミューンとみるのであって、「巨大組織」や「国家」と見ることも好まない。そして、何か資料のような経典のような物質化された「根拠」がほしいわけでもない。
ホツマツタエについては、だから20年前にちょっとトリップしたことがあるが、そこから得た結論は「なかった」。結論のない世界が、当ブログにおける「ホツマ」の世界であると心得ておくことにする。
1版でも担当者として、名前だけ紹介されているが、2版においては著者名となる。取材執筆したのは1962年生まれの野村哲郎記者である。1990年当時28歳。若いと言えば、あまりにも若い。だから、正直に言って、文章に深みがない。
資料の使い方や、記事の書き方は、一般地方紙に掲載されるわけだから、それなりのバランスは取れている。しかしながら、日高見は北上川周辺のことである、という以外には、なんら論及されていない。なにをもって「日高見」の「時代」というのか。すくなくとも、今、当ブログが突入しようとしている世界とは、はなはだ異にする趣向である。
そしてまた29歳の記者が20年を経て、48歳になって見れば、またこの書において展開されたものの「不足」も感じることであろう。だが、大きな改訂もなく、2010年(3・11の前年)に出版されている。書物はそれはそれでいいとして、それを受ける世のなかというのはどんなものだろうか。
1990年では、なにかかなり先駆的なものを感じて拒否感をもった読者もあっただろうし、ようやく2010年になって、この本の趣向を理解した読者もいたに違いない。しかし、やはり時は移り変わっている。
アラハバキ、ヒタカミ、ホツマ、について、当ブログでは、あえて漢字を当てないばかりか、一般に語られている「歴史的」事実としての考証を求めず、あえて、ひとつの表象として、ラベルとして借りて、時代を超えて、この地球上に生きたスピリットたちの、その意識を追いかけることとする。
当ブログ、現在はカテゴリ名「ESJ47」で走っているが、この辺あたりから、石川裕人の戯曲の名に借りて、「時の葦舟」と改題することとする。
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