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2014/03/18

今日の気分はこの3冊<3> スナイダー、ギンズバーグ、ナナオ

<2>からつづく

今日の気分はこの3冊<3> スナイダー、ギンズバーグ、ナナオ

 別に読む気もないのに、本ばかり並べてどうするんだろう。いえいえ、調子よくなったら、読むかもしれないじゃないか。イメージだけでも並べておけば、いつかはバリバリ完全読破、ってタイミングも来るかもよ。

 それにしても、3冊並べる必要ないじゃないか。 1冊で十分じゃないの。いえいえ、1冊だけなら、いつもやっていることと同じことになる。むしろ、3冊並べてみて、そのトリニティの真ん中にある空間にこそ、意味があるんだ。

 つまりだね、突然始まってしまったこのシリーズだが、つまりは、いつかは読んでみたい、憧れの本たち、シリーズではないのだ。むしろ、ぷんぷん批判的。ネガティブ・リーディングなのだよ。こんな本なんか、今日は読んでいられるかよ、っていうのが本音なのだ。

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ゲーリー・スナイダーと宮沢賢治についての覚書 富山英俊 「現代詩手帖」 1996/03

 スナイダーはかっこいいから好きなんだけど、どうも3・11後の「ゲーリー・スナイダー・イン・ジャパン」って奴が気に食わない。おいおい、3・11後に、「世界遺産」平泉に行って、「宮沢賢治記念館」にいって館長と会って、松島に行って芭蕉を偲ぶって、ある意味、全然かっこよくない。天下のスナイダーが、いまさらそんなことしてんのかよ。

 と、気分はかなりヤケクソである。これはちょっと言いすぎかな。松岡正剛の「3・11を読む」も、ある意味カッコ悪い一冊である。なんだ、なんだ、その程度かよ。いまさら東北学でもあるまい。なんでやねん、とイッチャモンをつけたくなる。

 しかし、よくよく考えてみれば、これは私が彼らにいままでずっと憧れてきたから起こった気分なのだと思う。彼らとて、一個人を超えた、とてつもない現象のただなかに立たされているのだ。むしろ、その率直な、素直な表現をよし、とすべきなのだ。3・11の前では、みんな茫然とするのが当たり前なのだ。まるでカッコよくないことが、割とカッコ良かったりする。

ななおさかきの地球B 「現代詩手帖」2010/10

  ナナオ三省も、ポンも、みんな死んじゃったね。この人たち、3・11を知らずに死んでいって、幸せだったのかも。だけど、この人たち戦前生まれだから、みんなあの第二次世界大戦という奴を知っている。あるいみ、人災という意味では、原発事故に引けを取らない、悲惨な状況があったわけだよ。

 戦後生まれのわれわれが、ハッピーな気分で高度成長時代を謳歌したけれど、まぁ、最後は3・11を体験するのも、「悪くない」。彼らばっかりに、悲惨な時代を背負わせる必要もなかろう。この悲惨さを、悲惨と受け止めて、ここから歩き始めるしかないだろう。

 何をもってきても、埋めきれない穴、って奴がある。誰を持ってしても、解決しない問題はある。だれかに解決策を期待して、リードしてくれ、解決してくれ、って願っているばかりではダメだね。自らが考え、自らが歩き、自らが解決していくしかないのだ。そう言った意味において、みんなカッコ悪くなってくれたほうが、いいのかもしれない。

「アメリカ現代詩の愛語」ースナイダー/ギンズバーグ/スティーヴンズ
田中 泰賢

 この本も面白かった。すでに15年前の本だが、読んだのは3・11の後。雑多なスナイダー本、あるいは賢治本の一冊として読んだ。タイトルにあるように、スナイダーやギンズバーグなどのアメリカ「現代詩」を論ずる一冊である。とにかく、意味ある一冊だったので、あとで読もうとおもって、「つづく」としておいたが、いまだに再読ならず。今回、この機会を捉えて、再読がスタートするだろうか。

 でもな、と思う。現代詩や、「詩人」、ってのは一体何なんだ、と、ちょっと突っかかってしまう。三省も、スナイダーも、たぶんギンズバーグも、ナナオも、みんな「詩人」を自称する。詩人であれば、何か許されるのか。詩人という場に退却することによって、自らは前線から見を引いているのではあるまいね。

 とかなんとか、あることないこと、いろいろ言ってみる。私は詩など書かないし、詩人なんて自称できるはずもないし、そして、本当は、詩人になんて憧れたりはしない。詩に一生をかけたりしない。詩を書くことで、詩人であることで、何かが許されたり、猶予されたりするとは思わない。この人たち、どっかで人生あやまったんじゃないか、とさえ、言っておこう。(ついでにとは、あまりにヒドイが・・・)

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 いつもいつも、こんな日ばかりでもないだろう。だけど、今日は、こんな気分なんだな。それはそれとしてメモしておこう。

<4>につづく

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