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2014/03/16

UTREAM 「日本におけるアントニオ・ネグリとの対話」×姜尚中 (対談)2013年4月12日(金)

「日本におけるアントニオ・ネグリとの対話」
2013年4月12日(金)午後2時~午後5時
プログラム
第一部:アントニオ・ネグリ講演
第二部:アントニオ・ネグリ×姜尚中 (対談)
配信用語
L(左)日本語(ネグリさんの話は同時通訳)
R(右)会場音(ネグリさんの話はフランス語)
※RとLで音声が異なります。ヘッドフォンでの視聴を推奨します。Total No.3196★★★★★

 2013/04、ネグリが来日したときのビディオがUTREAMで見ることができる。ありがたい時代だと思う。「現代思想」 2013年7月号 特集=ネグリ+ハート 〈帝国〉・マルチチュード・コモンウェルス をメモしたところ、シンポジウムのビディオが見ることができることがわかり、こちらの姜尚中との対談もネットで見ることができることがわかった。ありがたいことだ。

 本やビディオで全てが分かるとはとても思わないが、それでも、何らかのきっかけにはなるだろう。「<帝国>」「マルチチュード」で始まった当ブログのネグリ+ハート追っかけではあるが、ここにきて、かなり煮詰まってきたと言える。

 今回一連のビディオを見ていて、わかったことは、インディビジュアリティと、シンギュラリティについてのネグリの言葉の使い方。インディビジュアルとは、日本では「自立」「独立」と捉えられるところからみると、全体がありながら、そこから「個」としての自覚を強く持つ、ということである。

 それに対して、ネグリは、インディビジュアルを、個への撤退、自閉、と強く捉えているようだ、ということが分かった。それに対するネグリのシンギュラリティは、やはりその語感から推測していたとおり、シングルが語幹となっている。

 シングルはコモンを求める、という文脈だが、それは当然そうならざるを得ないだろう。ネグリがいうところのコモンは、コミューンを連想させるところも面白い。

 整理すると、ネグリがどう言おうと、人間個人は全体から離れて、別個なものとして存在できるわけではないし、全体は私という個を含めて全体なのである。独自の用語をどんどんつくることによって、独自性を出そうとしているようでもあるが、よくよく聞いてみると、それほど、独自とは思えない。

 ネグリに具体的な解決策を求めないでくれ、という。マルチチュードにユートピアを見ないでくれ、という。大きな流れの中の未来への足がかりにしてくれという。日本は日本で、独自の解決策を考えてくれ、見つけてくれ、という。

 あえて、ネグリやマルチチュードという概念に、彼独自の<シンギュラリティ>を認めないことはないが、そして、彼が手を差し伸べようとする<コモン>に好意的なものを感じないわけではないが、彼のほうからも、私が見え、私の<シンギュラリティ>が見えることを期待したい。

 対談している姜尚中について当ブログが読んだのは、「姜尚中の政治学入門」「デモクラシーの冒険」くらいだが、別段そこからは追っかけにはならなかった。気にならないわけではないが、「スマート」な姜尚中には、それ以上、引っかかっていくつもりはない。

 だけど、これがちょっと曲者かもしれない。上野千鶴子がいみじくも、マルチチュードは男だけの世界なのか、と問う時、ネグリのあの独特の<シンギュラリティ>が、姜尚中のスマートさによって、うまく薄まり、バランスが取れているように思える。

 マダム殺しの姜尚中の雰囲気が、マルチチュード・オタクの男子臭をうまく消してくれているようでもある。姜尚中、いくつかの話題作もある。いつか、追っかけが始まるかもな。

 とにかく、ネグリが自称するように、スピノザ原理主義でありながら、マルクスの後継者である限り、当ブログが自らを深化していく過程で、どうしても、その中に互いのシンギュラリティを見つけざるを得ないことになろう。

 そして、それはネグリがいうところの<コモン>の否定にはならない。むしろ、そこに距離が存在するからこその<コモン>であり、<コモン>のひろがりであり、<コモン>の可能性であろう。

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