「来たるべき地球人スピリット」<8>9・11という21世紀幕開け
「来たるべき地球人スピリット」--読書ブログから見たポスト3・11--
<8>9・11という21世紀幕開け
どれだけ21世紀という言葉語られただろう。21世紀は輝いていた。21世紀はユートピアだった。21世紀は、すべてがかなえられるべき想郷だった。なにもかにもが21世紀へ向けて、なびいて行った。あらゆることが解決された黄金郷。でもでも、そんなことはなかった。それは見事に裏切られ、否定された。
ある夜、家族はそれぞれの部屋に入り、茶の間で遅くまでテレビを見ていたのは私だけだった。そろそろ寝ようかな、と思った時、深夜テレビニュースで、奇妙なシーンを映していた。アメリカの高層ビルの最上階あたりに、干物か、目刺のような小さな飛行機が突き刺さっていた。
飛行機が突っ込んで行くシーンが何度も何度も再映されていた。おいおい、こりゃぁなんだ。こんなシーンみたことない。私は、階段を駆け上がり、家族みんなを叩き起こした。見ろ見ろ、こんなシーン見たことないだろ。これは歴史的シーンだ。これは見ておくしかない。
唖然と見ながら、それに続いて起こるシーンを想像することは誰にもできなかった。タワー・インフェルノは、やがてビル全体に火は回り、白煙をばらまいて、高層ビルは倒壊したのだ。いわゆる9・11世界貿易センタービルの事件である。
世界経済の要所要所とつながりのあるこの建物の崩壊は、さまざまな派生的影響を生み出した。日本企業も何社か破たんした。何度も聞かされた21世紀、という輝いていたイメージは、この事件によって、大きく傾いた。これが21世紀の幕開けだったのだ。
それにしても、10代の子供たちを抱えた、中年男になにができる。子育てに必要な環境もつくり、そのローンに追われ、日々重なる重責の中で、世界情勢など考える余裕などあったものではない。ああ、なんという21世紀なんだ。
あれからだって、もう長いこと経過した。やっぱり、そんな甘いものではなかった。でもだからと言って、悲観してばっかりもいられない。自分が生きているこの時代をなんとか生き延びるしかない。矛盾だらけのこの世界。戦争がこの世からなくなるなんてない。国境がなくなるなんて、夢ばっかり。殺人もあるし、貧困もすすむ。経済も落ちこみ続ける。世の中、真っ暗闇じゃん。
これが21世紀か。結局、なんにも変わらないじゃん。こんな世の中、生きる価値があるのか。かつては、高度成長時代に、暴走する急行列車からドロップ・アウトしようと、フォークシンガーたちは歌った。しかし、今や21世紀には、中年化した同輩たちが、なぜか、この世に夢を持てなくなり、どんどんドロップアウトして行った。おいおいお前ら、そんなに早く諦めてどうする。なんとかしなければならないのではないか。そういう私の心も、どこかで、すっかり干上がり、渇いてしまっていた。
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