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2014/04/28

「生存への行進」―いま生命の革命が始まっている ! 大友 映男<3>

<2>からつづく

Tomo3
「生存への行進」いま生命の革命が始まっている! <3>
大友 映男 (著) 1982/04 新評社 単行本  268ページ

君たちは日本中を歩いてきたわけだがいったいどこが良かったか?」

 と福岡(正信)さんに質問されたので、あそこも良かった。ここも良かったと私たちが説明し始めると福岡さんは突然にこう言った。

 「あれもこれもと荷物を増やす旅をしてきたようだが本当のところはどうなのか!? 本当に求める旅というのは、あれもいらない、これもいらないというようにいらないものをどんどん捨てていって、もっともっと軽くなり目標をしぼっていくのが本当の旅ではないか!?

 要するに人間は分からないから旅をするのであって、君たちは歩いてきていたずらに迷いを深めているにすぎない。本当に分かったら、こうしてこの囲炉裏の淵に座りこんでしまうしかないのだ」 p175「第7章 本当の自然を知るということ‐‐‐四国編」

 この本の中での、もっとも私が敬服し共感したのは、この部分であった。何も「無の哲学」の福岡正信氏に自分を比肩する気はまったくないが、当初からあるこの本への若干の違和感、あるいは差異、というものが、もしあるとすれば、この福岡氏の指摘が何事かを教えてくれていると思う。

 私自身の旅は、16歳のヒッチハイクから始まっていたわけだが、実際のその国内の旅は、1975年ないし、その前年に終わっていた。敢えて言うなら、1975年のキャラバンも私にとっては蛇足であったのだが、その途中において、「存在の詩」に出会ったことによって、トドメを刺されていた。だから1979年の、この「生存への行進」キャラバンには、当時の私としても、いまいちアクセスの糸口を見いだせなかったのだろう。

 私たちは1979年5月3日、北海道日高郡静内町にあるシャクシャイン記念館を出発し、80年4月3日最終地点、沖縄の辺土岬まで約11ヵ月間かかって日本列島を横断し、文明の転換を訴えて行進した。p12「序章『生存への行進』に至る歩み」

 ようやく届いた本書を息せき切って読み始めてしまったために、一番最初に書いてあるこの一行を見逃していた。行進の期間は1979年5月からの11ヵ月間の旅だったのだ。旅とは言え、福岡正信氏が指摘するところの、何かを探すような旅とは、すこし趣きが違っていただろう。こちらの旅は、ネットワーク作りの旅だったのだ。

 77年にはキャラバンの仲間たちの一部が、日本の原水爆禁止運動の統一世界大会の実現を目差して、東京から広島まで平和行進しようという運動を始め、主旨に参道した私は「ミルキーウェイ」に行進団の東京事務局を置いて、三ヵ月あまり支援活動に奔走することになった。(中略)

 また一方ではキャラバン仲間である河本和朗さんとアメリカで接触を持ち、日本山妙法寺の藤井日達聖人の招きで来日したアメリカインディアン運動のリーダーであるリー・ブライアント氏は、聖人のスピリチュアリティーやこの平和行進という非暴力の運動を目のあたりにして、その中に彼らアメリカインディアン運動の展望を見い出していたのだった。

 かくしてこの77年の平和行進は翌78年には、原住民から湧きおこりつつある世界的運動の原理ともいうべき「ザ・ロンゲストウォーク」として展開されていった。p18 同上

 この77年、78年、という年代は、実に絶妙で、私個人はなんともいえないスリリングな年代と感じている。この時代、日本の旅はもう終わりにして、海外にでてみようと思った場合、インドかアメリカしかなかった。ヨーロッパとか中国もあることはあったのだろうが、私の眼には入らなかった。

 あの時、アメリカに行ったら、ネイティブアメリカンやら西海岸やらで、また別な人生になったような気がする。敢えて、私はインドに惹かれて行ったのだった。

 名護では多くの婦人が集まってくれたし、沖縄市(ママ)(旧コザ)では喜納昌吉さんや青年団が集まってくれ、民謡や勇壮なエイサーも交えてのにぎやかな交流会となった。p230「4000キロの行進の収穫---沖縄篇」

 1980年の春のことである。個人個人の内面を見つめる旅は旅として存在していただろうが、ネットワークとして繋がるべき連なりは、こうして、次第に有機性を強めていった。

 何であれ、今回、こうして読書ブログの中で、この記録的な本の存在を確認し、叛文化の年代史を再認識できたのは、大きな収穫であった。

<4>につづく

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