「暴走する文明」―「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ ロナルドライト著 星川淳・翻訳
「暴走する文明」―「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ
ロナルド ライト (著), Ronald Wright (原著), 星川 淳 (翻訳) 2005/12 日本放送出版協会 単行本 221ページ
Total No.3205 ★★★★★
こちらは、翻訳者たるプラブッタの仕事だ。2005年12月25日発行だから、ごくごく最新の仕事といっていいだろう。ハードカバーのキチンとした本だが、歴史と科学のコラージュみたいな本は、どちらかというと苦手なので、パラパラっとめくって終わりにしようと思った。
かつて、アルビン・トフラー、カール・セーガン、ライアル・ワトソン、フリチョフ・カプラなどなど、その内容の真偽は一読者として検証しえないものが多いので、一般に、その本の成り立ち、つまり出版社の信頼性や書評などからその本の価値をあらかじめ決めてしまうことが多かった。
このロナルド・ライトについても、僕はその本の価値についてはよくわからない。NHK出版からでていて、プラブッタが訳しているから良い本なのだろう、程度の判断しかできない。でも、実際に原書と読み比べたわけではないが、翻訳の文章は、なんとも読みやすい僕好みの文章であるといえる。あるいは、長年のうちに彼の文章にならされてしまったというべきか。
ネアンデルタール、ノイマン、ニューマンが同じ言葉だと初めて知った。(ネアンデルタールはニューマン谷の意味)。よくコンピュータの歴史などにでてくるノイマン型コンピュータのジョン・フォン・ノイマン。そのノイマンが実はニューマンという意味だったのか、となんだか少し親しみを覚えた。訳者は、さらに本文を「新しい人」と書いてわざわざカタカナで「ニューマン」とルビを振るあたり、なんだか、こちらの嗜好を見透かされ、挑発されているようで、ちょっと訳者としてやりすぎじゃないか(笑)なんて思ってしまったりもした。
本文は、158p程度のコンパクトなものだが、あとは、訳者のあとがきと、50pほどの検索・原注がつく。ほんの初期の彼の翻訳したOsho本にも、親切にも長文の注釈がついていたものだが、それは彼の好みなのだったのか。現在では、そのようなOsho本はみあたらなくなった。
いずれにせよ、本書の意味するところ、「「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ」を思う時、もう残りの人生を穏やかにすごせればそれでいいや、程度に考えてしまうのだが、やっぱりそれじゃ、まずいのかも知れない。
前書>18の78pのタイトルだが、インディアン達の知恵「すべては7世代後を考えて決める」くらいの責任と誇りを持って、人生を終わるべきなのだろうと、襟を正す気分になった。
イロコイ連邦については、p139あたりに、重要な未来への方向性を示唆する部分に引用されている。
(2006/02/19記) mixiコミュより転機
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