「黒の手帖」 檸檬社 <1>
「黒の手帖」 <1>
檸檬社 1969/01、1971/05~1972/09 全19冊 雑誌 A5判
Total No.3219★★★★★
この雑誌も私の人生に大きな影響を与えた。この雑誌がなかったら展開しなかった人間関係や興味の分野というものがある。その存在感たるや1977/10 - 1979/04に出ていた「ザ・メディテーション」(平河出版)と双璧をなすくらいの価値がある。
「ザ・メディテーション」もなかなか図書館から借りだして読むという手段が使えないので、結局は全冊揃えて手元に保存している。「黒の手帖」もいずれ全冊そろえようと思っていたところ、この古書店で全19冊一括購入という手があり、これは、と思っていたが、いまだにその機会がこない。
全19冊で46000円。安い! 一冊一冊を探して集めていく手間に比べたら、これは安い、と思い、そのうち購入と予定していたが、全然、その日が来ない。一冊2500円弱か、まずまずの値段だろう、と思うのだが、発売当時の値段にすればほぼ10倍。これではなかなか手が出ない。
それにしても、実は私は過去に、この雑誌の全シリーズ持っていたのだ。もちろん高校生だった私が小遣いで買うわけだから、毎号買えるわけではなかった。とびとび買っていたのだが、結局休刊になったあとに、出版社である檸檬社に穴埋めの欠号を直接注文して送ってもらって揃えたのだ。あの時のハガキでもらったメッセージも嬉しかったな。
そういう記憶があるから、どうもいまいちもう一度揃えようという意欲がどこかでそがれてしまう。そもそも、全部揃っていたのに20年ほど前、ふと思って古本屋に出してしまったのは、それなりの経過があったからだ。だから出したのであって、今ふたたび揃える、というのも、なんだかどこかおかしい。
そんなことを逡巡しているうちに、もう5~6年が経過してしまった。そしてたびたび思い出してはこのページを見るのだが、今のところ一向に売れてしまいそうな気配がない。実は、この書店のことを書くと誰かに取られてしまうのではないか、と思って書くのためらっていたのだが、どうも、結局は誰も手がでないようだ。もう、こうなったら、安心してバンバン書いてやろう(笑)
ネットオークションあたりで、ゼロ円スタートしたら、この19冊シリーズはどのくらいの値段で止まるだろう。私なら、まず一万なら、すぐ買う。二万弱でも、なんとか張り合って落とすかもしれない。しかし、二万を超えたら、どうかなぁ。元値の5倍でも相当高いが、10倍まで出して買うのはちょっとおかしい。
そもそも「雑誌」という存在の魅力は、雑なことが書いてあって、雑に扱うことができるからこそ雑誌というのだ。そこになにか所有する喜びとか、骨董的な価値とかが付加されて、異常に高値になってしまうのは、おかしいことだ、と私なら思う。
だから、結局は、私はこの「黒の手帖」はもう読むことはないのだろう、と思う。資料としても、活用することはもう諦めよう。というか、すでに一回諦めたのだから、いいじゃないか。あまり過去のことばっかり思い出していたりすると、おかしくなる。
ただ、当ブログでも、それとなく、あちこちでこの雑誌のことに触れてきたので、いちどまとめて書いておきたかったのだ。まぁ、せいぜい書いてこの程度だな。あと、実際に入手できるかもしれないが、その時はその時なりに、追伸として書き続けることにしよう。
今のところ、図書館の蔵書にもなっていないようだし、近場の古書店にもない。あまり深追いしないところが、当ブログのいいところである。お気軽に入手できる本を手にとって、お気軽ライフをたのしもうじゃないか。
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コメント
>藤本蒼さん
コメントありがとうございます。関係者ご自身からコメントをいただけるなんて、まさにインターネット時代ならですね。あの雑誌は、我が青春の大事な記憶です。
投稿: 阿部 Bhavesh 清孝 | 2019/05/03 19:28
当時、光栄なことに檸檬社の野原様に再終刊号の表紙絵をかかせていただきました。懐かしい・・・不二本 蒼生
投稿: 藤本蒼 | 2019/05/03 11:27
高校生の私には、かなり刺激的な本だった。中綴じA5サイズの雑誌の流行の元祖は「話の特集」のように言われていたが、同類で妖しく輝いていたのが 、この「黒の手帳」だった。私のカウンターカルチャーの基礎は、この雑誌で、刷り込まれた。日本の若者文化、アメリカのヒッピームーブメント、マスメディアに対する批判の目。混迷の時代に、密かに、新しい種が、蒔かれ始まっていた。
投稿: Bhavesh | 2018/08/14 03:46