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2014/05/11

「スペクテイター」<29号> ホール・アース・カタログ<前篇><1>


「スペクテイター」<29号> ホール・アース・カタログ<前篇> <1>
エディトリアル・デパートメント (編集) 2013/12 幻冬舎 単行本: 191ページ
Total No.3232★★★★★

 へぇ、こんな雑誌があるんだな。って、これって雑誌なんだろうか、単行本なのか、ムックなのか、どれだけの規模で発行されている本なのか、どこから出されているものかもよくわからない。長野県の住所が書いてあるが、それが本拠のあるところなのだろうか。なんにせよ、29号なんて、よく続いてきたもんだ(失礼!)

 今回、この雑誌に食指が伸びたのは、この号ではなかった。この次の30号についてである。ホール・アース・カタログのレベルでは、まだ私は単にこの本の前を通り過ぎたと思う。所が、30号では、「名前のない新聞」のあぱっちが原稿を書いている。それを読みたいために、この特集号、前篇、後篇の二冊を取り寄せた、という訳である。

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 前篇の特集は、ホール・アース・カタログのスチュアート・ブランドである。欧米はともかく、日本においては、必ずしも知っている人は多くない。もし、最近、彼が日本においても有名になったとしたら、アップルのスティーブ・ジョブズが亡くなった際、スタンフォード大学の講演の時、ホール・アース・カタログの終刊号の言葉で締めくくったことが、広く知られたからだろう。

ハングリーであれ。愚か者であれ。

  おそらく、現在の日本におけるスチュアート・ブランド人気は、スティーブ・ジョブズ人気に支えられている。そして、逆から言えば、スティーブ・ジョブズは、スチュアート・ブランドのホール・アース・カタログを語ることによって、一枚役者を上げたのである。この二人は、持ちつ持たれつの関係だ。

 私は長いこと、アンチ・アップルとまでは言わないが、ノン・アップル派だった。私の仕事が全然アップルとクロスしなかった。そのことが一番の理由だったが、アップルは高価だったし、ジョブズの悪評もあったので、その流れを借りて、手の届かないブドウは酸っぱい、という自己欺瞞に終始していたわけである。

 ところが、タブレットの時代にとなって、私はいきなりiPadを使うようになり、アップル軍門に下った。ジョブズの、その人生の鮮やかさと共に、その業績の計り知れない可能性にようやく気づいた、というところだ。そして、時を同じくして、ジョブズは、56歳と7ヵ月の人生を閉じていった。

 正直、私の中ではジョブズの評価はまだ固まっていない。良くも悪くも、これからもっとジョブズを解剖してみたいと、思っている。そして、その時にでてきた、「ホール・アース・カタログ」にまつわるスチュアート・ブランドの再検討も必要だ。私はブランドの最近作「地球の論点」に、ひどくケツまづいている。端的に言えば、ブランドは、脱原発派から原発推進派への「転向組」である。これは看過できない。

 私は相手の意見を聞く余裕がないほどの原理主義者ではない。妥協すべき点は、いくらでも見つけて、なんとか折り合いをつけようとするライフスタイルだ。時には、まったく心の中では納得できなくても、相手に従うこともたびたびあった。だから、私は原発推進派の意見も、一度は聞いてみようとする。

 しかしながら、ブランドの推進論は、かなり論拠が薄いのではないか、と思っている。地球温暖化の問題は分からないでもないが、その無知さが、原発=核武装推進の国家主義者たちの既得権益に一役買ってしまっているのではないか、と危惧する。その私の直観が、本当にそうかなのかどうか、これから調べてみようと思う。

 そういう意味で、2014年において、眉つばでスチュアート・ブランドに近づいていく方法を取らないで、単に過去の70年前後の「ホール・アース・カタログ」文化だけを取り上げるのは、すこし片手落ちではないだろうか、と疑問に思う。まぁ、この雑誌を読み進める上で、そんなことを考えながら、まずは全体をとらえようとしている。

<2>につづく

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