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2014/05/07

「Aria Pro II TS-500 Thor Sound Guitar 」 <捨てるに捨てられないモノ>シリーズその10

<9>からつづく

シリーズ<捨てるに捨てられないモノ>
その10 Aria Pro II TS-500 Thor Sound Guitar

 お蔭さまで、この連休中に、だいぶ家の中は片付いた。まもなくまた家族が増えるので、住居空間も増やしておかなくてはならない。家の中の住居スペースの絶対量は決まっているので、そこに住人や新たな家具が増えれば、当然、いままでの家具なり荷物なりを減らさなければならない。

 いやー、出るわ出るわ、こんなものまで貯めておいたの、というほど出てくる。確かに大事なものではあったのだろうが、この20年間というもの、その存在すら忘れていたんじゃない、というものが沢山あった。このまま奥にしまっておいてもいいのだが、それじゃ人間が暮らすスペースがなくなる。とにかくこの勢いで、もっとすっきりして、広々と暮らそうよ。

 そうして、次の粗大ゴミの日にはたくさんの家具が清掃会社のトラックに引き取られていくだろう。楽器もいろいろでてきた。このエレキギターもその一つ。Aria Pro II TS-500 Thor Sound Guitar。私の青春は、このギターと共にあった。オーディションを繰り返し受けて、いつかプロになってやろう、と日々練習に励んでいたのだった、←というのは、真っ赤な嘘

 このギターは拾ってきたものである。ある日、地域の粗大ゴミの日に、我が家のゴミを捨ててきて、代わりにこのギターを拾ってきたのだ。今や、公園に粗大ゴミを出すというスタイルはなくなった。随時各家庭が清掃会社に電話し、各家庭にトラックが回り、引き取るというスタイルに変わった。

 しかし、以前は地域全体の家庭が出して、まとめて大型トラックが引き取っていく、というものだった。いつもだと、児童公園の一部が粗大ゴミ置き場になった。いろいろ出る。あらら、これまだ使えるんじゃない、と思うようなお宝も出てくる。ひっこし族の多い地域なので、仕方なく捨てられたものもあるだろう。

 そして、その年は、もう20年以上前のことだが、ちょうど最後の公園集積の最後のチャンスだった。それまでは一括して、いくら捨てても無料だったのだが、それ以降はどんな粗大ゴミを出しても有料になる、という丁度端境期であった。だから最後のチャンスとして、実に一杯出た。公園が一杯になり、道路にまであふれ出た。

 私にギターを見定める目はないが、これもまた小学生の息子のおもちゃになるのではないか、と、ハードケース入りのギターを拾ってきてしまったのである。結構、きれいなんだよな。使う気になればまだまだ使えるはずだ。中の配線とかに異常があるのか知らないが、見た目には傷もなく、欠品もなく、綺麗である。

 そう思って与えたおもちゃの筈のギターも、押入れにしまいっぱなしで20年が経過し、結局使われることはなかった。この連休で再び家族の目に触れ、さっそく清掃会社に連絡され、やがて引き受けのトラックが回ってくるのを待っているところである。

 だが、どうも胸騒ぎがして、ネットオークションで検索してみた。おお、すると、なんとちゃんと同形式の一品が出品されている。すこしデザインは違うようだが、同じ番号だ。気になるお値段は? 開始時の価格  なんと29,800 円。出品者の希望が大きく反映されている値づけだろうから、買い手がつかなければ、ただの数字でしかないが、それにしても、これだけの価値があるものかどうか。

 動画も探してみた。おお、何本もでてくる。その中で まったく同じであろう機種で演奏しているのが、上の動画。いつの動画が知らないが、すくなくとも、このギターでこのような演奏ができたらいいな、と思う。アコーステッィクとかフォークギター、ウクレレなどは演奏したことがあるが、エレキはやったことがない。誰か親父バンドにでもまぜてくれないだろうか、などと、しばし、夢想する。

 そんな姿を見ていた、奥さんと息子が、「お父さん、捨てなさいよ!」と、腕組みしながら、睨んでくる。「はい」、と素直に返事はしたものの、どうも、私は捨てられないのではないだろうか。受け取りのトラックが来るまでは、とにかく外の物置で待機させるにしても、その前に、やっぱり思い直して、他の家族の目につかないところにしまい直すのではないだろうか。

 鑑識眼のある方々、このギター、どうするべきでありましょうか・・・・? 鑑定、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

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後日談、

SNSつながりの友人たちからいくつかのアドバイスがあった。

○使わないなら、しかたないよね。

○現役で同じ型を使っているよ。(ただし、大改造して)

○アンプはハードオフなどで極めて安価に売ってるよ。

などなど。

 その後の経緯は、もう詳しくは書くまい。我が家に「秘蔵」されてきた「Aria Pro II TS-500 Thor Sound Guitar 」は、天井ロフトと、外物置と、門の外を、2度3度行き来した結果、最終的には、粗大ごみ引き取り料400円で、他の粗大ゴミとともに、収集車のタンクの中に収容されていった。

 もちろん、心は泣いていた。しかし、それは、どこか火葬場で家族や知人を送るような、真摯な気持ちだった。

Git1

 もう細かいことを言うのは辞めよう。

Git2

 本当に、爺さんが、これからエレキギターを弾きたいのであったなら、新しいのを買うことにする。

 少なくとも、粗大ごみで拾ってきたエレキギターで、家庭争議をおこし、DVやら、殺人事件(笑)を起してはならない(爆笑)

 とにかく、ギターに対しては、捨てるに捨てられずに最後の最期まで悩んで、努力したけど、最後はついには、君のことを守れなかったよ、と、謝罪するしかない。

 冥福をお祈りいたします。 合掌 2014/05/13記

<捨てるに捨てられないモノ><11>につづく

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コメント

またまたこの記事が人気記事ランキングに登場してきたので、コメントを書こうと思った。しかし、前回書いたコメントを読んでみると、ほとんど書きたいことは同じことだった。文面、フレーズさえ同じだ。よっぽど悔しかったのか、こちらの頭が固まってしまっているのか。とにかくすっきりしない結末ではあった。

投稿: Bhavesh | 2018/09/01 21:57

このギター、わがポリシーとしては、やはりもったいなかったな、と思う。なんであの時、家族たちは(とくに奥さんは)角を生やして、このギターを嫌ったんだろうか。おそらくあの時、ターゲットになっていたのは、ギターではなく、私自身だったのだろう。このエレキギターと一緒に、実は奥さんの父親の持ち物だったアコースティックギターも処分された。生のギターが処分機にかけられて、壊れていく姿を見ているのはつらかった。
その後、娘が学生時代に使っていたギターや、友人がインドから持ち帰ったシタールなどは、まだ現存しているが、結局は空間を埋めているだけであって、たしかに楽器としては活用されていない。
あのギターたちには、生命力におけるその必然性があったのだろう。冥福を祈る。合掌。

投稿: Bhavesh | 2018/07/29 06:50

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