「特攻へのレクイエム」 陸上自衛隊音楽隊
近くのホールで、自衛隊音楽隊のコンサートがあるとのことでチケットを貰うことになった。集団的自衛権についての論議がかまびすしいこのタイミングで自衛隊か、と思ったが、これも何かのきっかけと思って聴いてきた。
会場は、老若男女と言いたいところだが、自衛隊員家族会の雰囲気で、地域の年配の方々が(って、私もそのお仲間ですが)、なんと一時間半以上も前から列を作って開場を待ち、やがて2000席ほどの席も満席になった。
さてさて何が始まるのやらと身構えたものの、二時間の演奏時間はあっと言う間に終り、正直言って、私は、ずっとまなじりが濡れっぱなしだった。
特に注意はなかったが、コンサートというものは写真撮影も録画も録音もできないものと思い、何もしないで聴いてきたのだが、帰宅して、ネットには沢山の動画があることが分かった。
驚いたことに、開演して数曲目に「特攻へのレクイエム」という曲が演奏されたのだった。これは、すでにアラ還である私のさらにその上の、会場へ詰めかけた、私の親の世代への「サービス」だったのかもしれないが、実にびっくりした。上のビデオは私が聴いてきた演奏の録画ではないが、まぁ、雰囲気はほとんど似たようなものである。
ステージの上にいる隊員の方々は、おそらく、指揮者や、司会役の若い隊員、女性隊員を含め、全員、私よりお若いであろう。いやいや、我が家の愚息たちよりさらにお若い方々だっていらっしゃるに違いない。それなのに、おいおい、「貴様とオレとは~~~ 同期の桜~~~」なのか????
この方々、リアルタイムでは、特攻も、同期の桜も、ご存じないだろう。だってアラ還の私だって、リアルタイムでは何も知らない。子供時代には、ソノシートをプレイヤーで回して聴いたこともあるし、遊び歌で歌っていたかもしれない。しかし、それにしても、その歌は、その当時でさえアナクロだった。
高校時代に陸上自衛隊駐屯地のフェンスの外側を、デモ隊で戦争反対の行進をしたことがある。それから更に時間は経過して、今から20年前は、何故か、外部から派遣された駐屯地内への心理カウンセラーとして、5年ほど、カウンセラー室の運営に関わったことがある。当時、自殺する隊員が多かったせいだ。
「特攻へのレクイエム」の中で、隊員がマイクを使って、特攻隊員が残したと思われる短い詩を読む。全文は覚えていないが、何度か繰り返されたフレーズがあった。それは、「キミのために死なん」というようなセリフであった。何度か聴いているうちにそれは、キミと呼びかけているのは、家族や恋人ではないことはすぐ分かった。それは、君=天皇=国家を意味していることに気付かざるをえなかった。
この曲の他にも、何曲も演奏されて、軽妙な司会役の進行に、何度も笑いに包まれた会場だったが、私は、あの数曲目に流れた「特攻へのレクイエム」を聞いてから、ずっと泣きっぱなしだった。少なくとも、このステージで演奏している若い隊員の方々が、決して、このような軍歌をリアルタイムで歌い、辞世の句を残すような時代にしてはいけない。
帰宅して、Youtubeを見ると、沢山の楽しい自衛隊の演奏が数々あることが分かった。日本の自衛隊は、戦争もしないで、歌ばっかり歌っていてほしい。みんなを笑いの渦にしてほしい。そして災害の時や、震災の時は、また、私たちを助けて欲しい。
当ブログにおいては、自衛隊が登場するのは異例だが、ここは私のブログである。まずは、今日感じたことをそのまま書いておこう。
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