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2014/06/14

「わが新宿!」 叛逆する町 関根 弘 <3>

<2>からつづく 

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「わが新宿!」 叛逆する町 <3> 
関根 弘 1969/05 財界展望新社 ハードカバー 376ページ
★★★★☆

 新宿・風月堂のかおりを手繰ってこの本に辿り着いたのだが、内容的に大冊ながら、風月堂そのものの風景はそれほど多くない。自然、飛ばし読みすることになるのだが、あちこちに、当時の世情や風景が描いてあり、そもそも、こういう世情でこういう時代であったればこそ、新宿・風月堂が存在したのだ、ということが解ってくる。

 むしろ、この本に描かれている新宿そのものが、いわゆる風月堂であった、ということだってできそうである。今となっては禍々しい風景も、見る角度によれば、偉大なる文化の温床だったりする。いずれアンダーグラウンドという単語を使うなら、60年代の新宿、なかんづくこの本も、見逃すわけにはいかない、ということになる。

 「風月ゴロの哲学」

 (略)ビート族というのは、日本全国で50人くらいいるそうだが、わが友人の形容にしたがえば、彼らは”乞食”である。自分では絶対に働かず、もらいものの精神で生きている。(略)

 ビートの本拠も、もとはといえば新宿である。風月堂あたりでゴロゴロしている労働意欲の喪失者のなかから、無職を生活の信条とする者が、ビートと称する”現代乞食”のスタイルを創出した。

 わたしの会ったビートの本名は安部君といい通称は”ブ”で通している。かれは、京都の禅寺で、アメリカからやってきたホンモノのビート詩人ゲーリー・スナイダーという男に会って放浪生活の真髄を体得、ズダ袋を肩に家出、夜はお宮で寝るというようになってすでに三年になるそうだ。(中略)

 貰いものの精神に徹するというのが、かれらのエクスタシーなのである。舶来品であるというのもミソなのであろう。

 メモ・この当時にはまだフーテンとはいわなかった。p289「灯のある新宿ぶらぶら記」

 われらが愛すべき車寅次郎こと「フーテンの寅」(第一作1969/08) にくっきりと銘を刻した「フーテン」だが、そのルーツは「ビート」ということになるのだろうか。その名前の発祥は奈辺にあるだろう。

 ふうてんパーティ

 67年の夏は、新宿フーテンに一斉にマスコミの目が注がれることになった。どうやらマスコミはビートとフーテンを一緒くたにしている。似ている面もあるが、ビートとフーテンは大いにちがう。おなじヤサグレでも、ビートには求道者風なところがあるが、フーテンは遊ぶのが仕事だ。p325 同上

 純粋な区分けはないだろうが、ビートは舶来品、フーテンは国産、ということになろう。ビートという単語は、一部の人々以外には普及しなかった。そこがまたビートの矜持なのだっが、私なぞの後塵を拝する立場の者としては、ビートと、ビートルズのビートが重なって、渾然とした印象を残している。

 花園にヒッピーの店

 ついに24時間営業しているフーテンの店ができた。もうすこし洒落ていえば、ヒッピーの店である。場所は、花園、店の名前は「吾兵衛」。もとはキャッチ・バーだったが、フーテン専門に堅実(?)にやっていこうと、営業方針を切り替えた。(中略)

 ゼンガクレンとフーテンは、明らかに次元を異にするが、反戦意識においては一致しているので、サツの旦那方からみれば一枚の銅貨の裏表ということになるのかもしれない。p336 同上

 さぁ、でてきたぞ、ビート、フーテン、ヒッピー、それにゼンガクレン。それぞれに重なり合い、ここからここまでとは区切りをつけるのは難しいだろう。これに先立つこと、1964年の、みゆき族とやらがあるらしい。多少1964年4月創刊の「平凡パンチ」も気になるところ。

 フーテン詩集 

 フーテン族ともいいヒッピーともいわれる乞食スタイルの若者たちの精神的先祖は、アメリカのビートニクであり、そうであるならば、かれらの中心はギンズバーグなどの詩人であり、亜流といえども、日本のフーテンも詩をかく筈だとあたりをつけ、67年夏、新宿駅東口のグリーン・ハウスに集まったフーテンたちの詩を集めにかかった。p362「新宿フーテン詩集」

 当時の世相・風俗を理解するにはうってつけの一冊である。

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