« 「本とコンピューター」 津野 海太郎 | トップページ | 「電子本をバカにするなかれ」 書物史の第三の革命 津野 海太郎 »

2014/06/16

「図書館の電子化と無料原則」―特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩第4回総会(2011・5・29)より 津野海太郎 

41kxrzplu1l__ss500_
「 図書館の電子化と無料原則」―特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩第4回総会(2011・5・29)より
津野 海太郎   (著) 2011/10 けやき出版 ブックレット 45ページ
Total No.3273★★★★☆

 薄いブックレットながら、表題についてズバリ提言する。図書館の電子化は避けられない時代の潮流。その時、図書館は無料であり続けるべきなのか、否か。簡単なようでいて、答はなかなかむずかしい。

 著者の結論は無料化維持、だが、その裏付け足る論理をもう少し明確にせよ、と迫る。

 公立図書館は「利用」中心でいく。それは、もちろん正しいんですよ。ただ、その正しさの上にあぐらをかいているうちに、ストックよりもフロー、地味な蓄積より派手な消費を重視する80年代以降の社会全体の変化(消費社会化)もあって、公立図書館がもつ「保存」の役割を必要以上に軽視する傾向がだらだらと定着してしまいました。p4「保存と利用という二つの軸」

 当ブログはもともと、奥さんが学校図書館の司書を始めて、読書ノートを手書きで始めたことに刺激されて始めたものだった。すでに10年以上が経過しているわけだが、図書館経営については、いろいろ側面から見て、それなりのむずかしさをかいま見てきた。

 当ブログは、図書館が無料で利用できなかったら、これだけ続かなかっただろうし、無料で借りて、申し訳ないな、という気持ちがあるから、すこしでも、その「恩返し」(といえるだろうか)のつもりで、読書ノートを公開してきた。すこしでも、関係者たちが無力感におちいらないように、せめて出版社から本を買う人がひとりでも増えるようにと、常に各書のリンクを張り、すぐ購入できるようにしてきた。

 といいつつ、私には、ごくごく多少ではあるが、アフェリエイトが発生するので、数カ月に一冊程度購入するほどのポイントバックがある。無料図書館、無料ブログ、無料公開が、とりあえず、現在の当ブログの原則である。

 そんなこと当たり前だろう、と言われるかもしれないが、実は、私は「有料図書館」も利用している。近くには10校以上の大学があるので、こちらの大学図書館も情報源としては貴重である。もともと外部に公開されたのは、この数年の動きなのである。有料と言っても、カードを作る時に登録料として、500円程度で終わるわけだが、私はもっと高くても、多分、登録はすると思う。

 また、ブログサービスも無料を使っているわけだが、実は、これは私とは無関係な広告がついてしまうことに悩むことがある。ある時は、私のブログについていた競馬情報サイトの広告に、私のブログについていたのだから信用できるだろう、と電話してしまい、数百万の「詐欺行為」にあった、という報告があった。

 これは、アクセスする人の行動にリンクして広告がつくわけだから、その人が別のときに競馬情報サイトを見ていたからそうなったのであり、当ブログとしてはまったくの無関係なのだ。それでもやっぱり、有料サービスを使うと、広告はつかなくなるので、これはこれで、今後の選択肢のひとつだな、と今でも思っている。

 また、当ブログもだいぶ長くなってしまっているので、これらを随時まとめて、電子本化しようとしている。もちろん無料で公開もできるのだが、もうすこし手を加えて、有料で閲覧してもらうようにしようと思っている。せいぜい99円程度のことであるが、これは、これで、自分の文章に責任を持つ、という意味では、モノローグなブログの域を飛び出す勇気が必要となる。

 インテリが死んでなにがいちばん困るか。それは故人が残した蔵書をどう処分するかという問題です。遺族はそれにものすごく悩まれるんですよ。実務的にどう処分するかということだけではなく、本の場合、かなりつよい精神的な負担がつきまとうんですね。

 愛する人間が生涯にわたって愛蔵してきた本を、死んだからといって、すぐに売ってしまうなど、パッパと処分してしまっていいものあろうか。深浅の差こそあれ、多くの場合、遺族はその週の精神的な傷を負わざるを得ません。

 となると、私も年老いたインテリの一員ですからね。いつ死ぬかわかったものじゃない。そこで死ぬまえに本を計画的に減らしておくことにしました。減らすといっても急にはむりです。三年計画くらいで何回かにわけてやって、死ぬころにはなんとか本棚ひとつくらいのところまで持っていきたい。そう考えてダイエットにとりかかり、いまは目標の三分の一くらいすすんだところですかね。

 本のダイエットには、所持している本の量を減らすだけでなく、もうひとつ、それをいま以上に増やさないようにする必要があります。となると逆比例して図書館利用の度合いが増えます。もともと図書館はけっこう派手に利用していたほうなんですが、それがさらに派手になってきました。p17 「なぜ図書館がタダでなくてはいけないか」

 私は別にインテリと自称するような人物でもないのだが、やはり文字型であることにかわりはない。人並みに愛蔵本に愛着がある。しかし、ある時から、私は、この本の著者とちょうど同じような理由から、一生懸命、本を減らしてきた。そして図書館利用を前面に押し出してきた。これが結構便利である。図書館は、私の本棚だ、と思えばいいのだ。そのくらい、現在の図書館は使い勝手がいい。

 いずれにせよ、著者は、図書館が有料化すると、自然と利用者は減り、図書館が使われなくなれば、市民の力も減り、市民の力が減れば、出版社の本も売れなくなるという、デメリットスパイラルを想定している。図書館は無料であるべきで、市民の力がそれにより維持増大されてこそ、一般の出版社の本も、一冊二冊と売れ続けていくのだ、と強調している。

 かくいう私も、図書館に依存して、なおかつ古書は次々と処分しているが、これだけは、という本は、惜しみなく購入して、傍らにおいて、ニタニタしながら眺めている。

|

« 「本とコンピューター」 津野 海太郎 | トップページ | 「電子本をバカにするなかれ」 書物史の第三の革命 津野 海太郎 »

22)コンシャス・マルチチュード」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「図書館の電子化と無料原則」―特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩第4回総会(2011・5・29)より 津野海太郎 :

« 「本とコンピューター」 津野 海太郎 | トップページ | 「電子本をバカにするなかれ」 書物史の第三の革命 津野 海太郎 »