「プライベート・タイム」 森 瑶子
「プライベート・タイム」
森 瑶子1986/09 角川文庫 文庫 273ページ
Total No.3271★★☆☆☆
この本も、「電脳・風月堂」の中の、「Large Beer」と「Can Beer」という参考資料リストの中から、60年代的、新宿・風月堂の消息を尋ねて作っておいた、「電脳・風月堂 関連リスト」の中の一冊。
この本には80程のエッセイが詰め込まれているが、おそらく新宿風月堂に関連する作品は「風月堂の青春」の一編だろう。他の作品とストーリーとしては関連がありそうだが、空間軸としての新宿風月堂には触れていないのではないだろうか。
ムッシュウは風月堂の入口に立つと、店内をひとわたり眺め、それからまっすぐに私たちの席へ歩いてきた。そして私の席の横に、なぜか溜息をつきながら坐るのだった。
ガコも遅れてくる方の一人だった。彼女が遅れて現れる理由は大体想像できた。p123「風月堂の青春」
このエッセイは小さくて、文庫本4頁強。ほとんどが作家の内面的心象を描いており、対象としては新宿風月堂が意識されているわけではない。ただ、19歳の少女だった彼女の「プライベート・タイム」が、どのような環境の中でどう動いていたのか、を考える時、新宿風月堂というシチュエーションが多く作用していたことは、おおいにありえるだろう。
風月堂に集った若者たちが、別に誰かに見られたり報道されたりするために集まったのではなく、自らの内面の求めるままに集まったとするならば、このような心象風景の描写の記録も大切なデータということになる。
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