「お産の学校」: 私たちが創った三森ラマーズ法<2>
「お産の学校」 私たちが創った三森ラマーズ法 <2>
お産の学校編集委員会 編 1980/3 BOC出版部 単行本 444p
★★★★★
この本、貴重なので保管本として一冊揃えたいので、知り合いに探していただいているが、ちょっと望みうすかな。この本は訳あって、在庫分は廃棄処分されることになってしまったという。今読んでみれば、沢山の人が関わっているし、記録としては、限りなく貴重である。ただ、最後の最後、国会図書館には入っているので、見ることは可能だろう。私は、関東のある県図書館から転送していただいて拝読した。
ペコ たしかに、いいお産をすると、人を巻き込みたくなるってこともあるのね。p280「なぜ『ラマーズ法』を・・・・なぜ『産婆の学校』を」
気付いたのはたった一行だったが、ペコもこの座談会に出席し発言もしていたようだ。
キク どんなに勉強しても、99人とりあげても百人目でどういうことが起こるかわからない。お産というのは、しろうとがいくら勉強してもね、絶対的に経験回数がちがうでしょう。
三森 同じことの繰り返しなら、----みんな同じ環境で、同じからだで、同じ赤ちゃんなら、そんなにむずかしくないわけだけど、ひとりひとり全然ちがうんだからね。環境もちがうし、お産を経験した回数も違うし、赤ちゃんの大きさもちがうし、千人いたら千種類のお産なのね。
同じ人でも上の子と下の子では全然ちがうしね。この人はすごく伸びそうだなと思ってた人で出にくい人もいるし、こんな小柄な人が・・・・と思う人がサッと産んだりね。
その人のくせみたいなもの、多少の個性はあるけど、同じ人でも三人産めば三人ともちがうのよ。全く同じお産というのはないわけだから、やっぱり慎重にしなければいけないと思うの。
キク ちょっとでも失敗すれば、それみたいことかっていう人も大勢いることだしね。
三森 そうそう、絶対それはあるの。だからしろうだけで勝手なことをするのはよっぽど考えないとね。いのちを大切にする運動なのに、いのちを粗末にすることになる危険もあるわけでしょう。p284同上
当時、私たちのコミューンでの自宅出産にも参加し、写真記録などを担当していたサキは、その後、医療界に転じたわけだが、彼と最近昔のことを話していて、たしかに、危険な行為だったかも、という感想を漏らしていた。
私自身の出産は、終戦間もない昭和20年代ということでもあり、割と簡素だったようだ。三人目の子供でもあったが、母親は、梅の木の下の草をむしっていて産気づき、自宅に戻って、コタツの脇で私を生んだという。もちろん、取り上げたのは、近所の産婆さんだった。
当時、三歳の兄や、五歳の姉も、私が生まれた時のこと覚えているらしい。出産そのものは、見ていないだろうが。
いまや、産婦人科には成り手が少ないという。それだけ、リスクの多い分野なのだろう。正直言って、男の私は、自宅出産しよう、という「決断」のプロセスには、まったく参加していたわけではないので、出産のプロセスに、同席していたにすぎない。結果として出産が無事終わったから言えることではあるが、あの現場に立ち会うことができたことは、本当に貴重な体験であったと言える。男として、本当に出産の凄さに気づかされた、と思う。
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