「電子本をバカにするなかれ」 書物史の第三の革命 津野 海太郎

「電子本をバカにするなかれ」 書物史の第三の革命
津野 海太郎 (著) 2010/11 国書刊行会 単行本: 290ページ
Total No.3274★★★★☆
タイトルからイメージするよりは、もっと多彩なテーマを取り扱った一冊。イメージとしては、津野式バラエティ本、ということらしい。
(第一段階)好むと好まざるとにかかわらず、新旧の書物の網羅的な電子化が不可避的に進行していく。
(第二段階)その過程で、出版や読書や教育や研究や図書館の世界に、伝統的なかたちの書物の望みようのなかった新しい力がもたらされる。
(第三段階)と同時に、コンピュータによってでは達成されえないこと、つまり電子化がすべてではないということが徐々に明白になる。その結果、「紙と印刷の本」のもつ力が再発見される。
(第四段階)こうして、「紙と印刷の本」と「電子の本」との危機をはらんだ共存のしくみが、私たちの生活習慣のうちにゆっくりもたらされるこおになるだろう。p66「第三の革命と四つの段階」
「第一の革命」で問題になったのは「記憶」です。p67
「第二の革命」では、印刷という「同一コピーの多数同時生産」技術が人間から「精読」の習慣をうばってしまうにちがいない、という批判がさかんになされた。p68
「第二の革命」によっても、人間から「記憶」と「精読」の能力が完全に失われることはなかった(略)。p70
それぞれに能力と限界をもった二系統の本がなんとかバランスよく共存してゆく道を具体的にさがすしかない。つまり「書物史の第三革命の第四段階です。p012
格段、なるほど、と思うところはたくさんあるが、この本自体は2010/11にでている本だが、編集本なので、2000年代の前半に書かれた文章も相当含まれている。さらには昨日読んだ「図書館の電子化と無料原則」 と内容もダブっているので、ことさら新鮮には感じなかった。
この方は、もともと編集畑の人らしく、最初から最後まで読者を意識しつつ、とこには、ですます調で書いたりするので、読みやすく、ダイアローグ的なイメージがあって、ジグザグしつつ論理を深めていける面白さはたしかにある。
だが、結論としては、一読者として見た場合、わりとオーソドックスなまとめになっているのではないか。編集者が読者的な意見になる、というところが特異なのかもしれない。いずれにせよ、面白いが、当ブログにとっては、時機を得た読書とは言い難かった。
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