「読んでいない本について堂々と語る方法」ピエール・バイヤール
「読んでいない本について堂々と語る方法」
ピエール・バイヤール (著), 大浦 康介 (翻訳) 2008/11 筑摩書房 単行本: 248ページ
Total No.3264★★★★☆
うーん、またまた速読とか、なんかのズルするような方法論なんだろか、と、タイトルをみただけではそう思う。著者は、パリ第八大学教授で、精神分析家。はぁ、フランスあたりでも、ちゃらちゃらした人がいることはいるんだろうな。
と、そう即断するのは早計である。「読んでいない本について堂々と語る方法」というタイトルに嘘偽りはない。これは、著者が大学の講義をする時の方法論でもある。
例えば、中世の修道院の奥深く、見てはいけないという禁書があるとする。その存在すら忘れられてしまっている本の調査が始まる。若い修道士がその調査を依頼され、その存在を確かめることができた。
その本の中に何が書いてあるのか、本のカバーを開けてしまえば分かることである。だが、その本は禁書である。見てはいけない。見てはいけない本のレポートを書かなければならない修道士は一体どうすればいいのか。
というようなストーリーが書いてある。その本を堂々と語るには、周辺の情報を集め、禁書になった経緯を調べ、およそ、どのような内容であるから禁書にならざるを得なかったのだ、と推測していくことになる。
まぁ、大体そういうことが書いてあるのだろう(笑) 私もまた「読んでいない本について堂々と語る方法」を学ぶ必要がある。
この本はコンパクトである。だが深い。タイトルのComment parler des livres que l'on n'a pas lus ? も、おおよそ日本語タイトルと同じ意味であろう。日本のガラパゴスマーケティングに合わせて付けられたタイトルでもなさそうだ。
なかなか哲学的な内容である。暇な時に、じっくり繰り返し読むのも面白そうだ。
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