« 「20世紀エディトリアル・オデッセイ」 時代を創った雑誌たち 赤田 祐一 +ばるぼら <2> | トップページ | 「自然のレッスン」 北山 耕平 長崎訓子 »

2014/06/06

証言構成「『ポパイ』の時代」 ある雑誌の奇妙な航海 赤田 祐一

P1
証言構成「『ポパイ』の時代」 ある雑誌の奇妙な航海
赤田 祐一 (著) 2002/10 太田出版 単行本: 534ページ
Total No.3257★★★☆☆

 別に「ポパイ」に深い思い入れはないが、著者である赤田祐一とやらの編集者おっかけでめくってみた一冊。534頁という大冊の中に、十数名の編集者たちとの対談が納められている。ポパイという雑誌に関わった人々の証言集を「共同体」と見立てて、一冊の本がでている。その時の「共同体」とはなにか、が問われる。

 ほとんど知らない(おそらくそれほど一般的には有名ではなかろう)が、たった一人だけ、北山耕平が登場している。

●---ほんとうに「宝島」にいらした時期って短いですよね。

北山 創刊から3年くらいだよね。訳のわからない時代だったよね。

 あの時代って、おもしろい時代だよ。70年から76年くらいまでの間の6、7年間というのは、日本ではすごい重要な時代だったかもしれないって、今、思うけどね。あの時期に何をやってたかが、きっと今に問われるだろうね。われわれの世代では。

 あの時、なにかが破裂したんだよ。その影響はいまだに続いているなにかがある。それは別に「宝島」が、って言うんじゃないんだ。若者文化の中で、なにかが一回はじけたんだ。70年代の、それも前半に、自由ってものが、一瞬だけ見えた時かもしれないね。それが政治運動の中にからめとられていっちゃった部分と、それから「ポパイ」みたいな物欲のほうに流れた部分に別れるけど。

 その間の真空地帯に、何かがあったんだよ。きっと。それが何だったかっていうのは、やっぱり、探し続けないといけないんじゃないかな。 p374

 この分厚い対談集の中の、このセンテンスを見つければ、この本は読んだ、ということになる。この対談も、このセンテンスを持って終了している。この本は2002年にでているし、この対談はその直前に行なわれていると思われるが、すくなくとも、75年を軸とした時代層からすでに四半世紀を経ての、北山の述懐は、ズバリ、正しいと思われる。

 70年から76年くらいまでの間の6、7年間というのは、日本ではすごい重要な時代だったかもしれないって、今、思うけどね。あの時期に何をやってたかが、きっと今に問われるだろうね。われわれの世代では。

 そのとおりだと思う。そう思ってきた。しかし、ここまでズバリ言っている人物には、なかなか会えない。

 その間の真空地帯に、何かがあったんだよ。きっと。それが何だったかっていうのは、やっぱり、探し続けないといけないんじゃないかな。

 そして、ここもズバリである。「その間の真空地帯に、何かがあった」という感覚はそのとおりだ。そこを書いていくために当ブログがあった、ということもできる。当ブログは当ブログなりに、その「答え」を持っている。その答えをうまく表現できるか、他者に受容して貰えるかどうか、という問題は残るが、私分について、私は私なりに、その真空地帯にあった「何か」をキチンと整理できている。

 この対談が行なわれて十数年。いまやこの発言者とはSNSつながりでチャットのできる環境は整っている。70年代を考えることは、決してノスタルジア満ち満ちた懐古趣味ではない。私たちの今回の生を問う、大事な問い掛けである。

●---(前略)北山さんが編集長時代の「宝島」の広告が載っているんですが。「全都市カタログ」の号が。

北山 あれは、おれ関係ないの。その後でおれが、六本木の事務所に呼ばれて(後略)p355

 うすうすわかってはいたが、別冊宝島「全都市カタログ」 (JICC出版局 1976/04)に、編集者として直接北山はタッチしていなかったことを、証言確認できた。

 この本の他の対談は割愛する。トリビアの泉どころか、トリビアの泥流みたいだ。そこまで極言しなくても、まぁ、トリビアの溜まり水くらいにしか、一読者としては感じられなかった。

|

« 「20世紀エディトリアル・オデッセイ」 時代を創った雑誌たち 赤田 祐一 +ばるぼら <2> | トップページ | 「自然のレッスン」 北山 耕平 長崎訓子 »

22)コンシャス・マルチチュード」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 証言構成「『ポパイ』の時代」 ある雑誌の奇妙な航海 赤田 祐一:

« 「20世紀エディトリアル・オデッセイ」 時代を創った雑誌たち 赤田 祐一 +ばるぼら <2> | トップページ | 「自然のレッスン」 北山 耕平 長崎訓子 »