こだわりTV「阿部薫とその時代」1991/12 芥正彦、相倉久人、三上寛、五木寛之、他
「阿部薫とその時代」
演奏 阿部薫 出演 芥正彦、相倉久人、三上寛、五木寛之、他 こだわりTV プレステージ 1991/12? テレビ番組 170分
Total No.3290★★★★☆
今読み始めた「新宿考現学」(1968)には次のように書いてある。
通称マリア(といっても女性ではなく、阿部という姓からアベマリアの下半分をつけたのだという)が仲間と共同で出したポスターなどを売る店イルミナシオンも順調だという(以下略)深作光貞「新宿考現学」(1968/09角川書店)p130「新宿族の生態」
これは伝説フリージャズの天才アルトサックス奏者・阿部薫のことらしい。映画「A.K.A. Serial Killer」(1969足立正生)のバック音がリアルだったことを書いたら、その関連で教えてもらったのが、阿部薫である。
これだけの諸説のある人物の生きざまに対して、ほんの数時間前に知っただけの通りすがりのジャズ音痴がどうのこうの言うことさえおこがましいが、日記代わりの個人ブログである。まぁ、今日の感じたままを書いておこう。
阿部薫でググッてみると多数情報がでてくる。まずはYoutubeでのテレビ番組を見てみた。1949年に生れ、1978年に亡くなった阿部の13年後の番組というから1991年のことだろう。しかも一年の締めくくりらしいので12月だと思う。
テレビにも出演している芥正彦がアップしている動画であるが、5分から10分弱きざみで細切れでアップされていて、ちょっと見にくい。それでも、コマーシャルのところをカットしてあるだけなので、まぁ、元のテレビ番組を見るような感覚では楽しめる。
それでもなんと、170分、2時間50分に渡る「大作」である。阿部薫の、一本の縦糸はこの番組の中に見つけることはできるだろう。https://www.youtube.com/watch?v=AJJYJ1Ntn0o から見ると、1/25から25/25まで連続で見ることができる。
1/25から25/25まで、一気に見てみた。結果としては、10人10様で、出演者一人一人の本性が暴き出されたような番組だった。 一番、阿部薫に近いと思われたのは、このビディオをYoutubeにアップした芥正彦だろう。でも、この二人だけを並べたら、きっと、意外や意外、結局、対局に離れ離れになってしまうのではないだろうか。問題は、どこに座標軸を置くかだが。
妹さんが言っていたように、阿部薫は、アルトサックスというグローブをはめて、リングの上で、命をかけて戦っていたのだろう。 三上寛の、75年やら78年やらの時代論には賛成。75年を通り越して、80年代まで、阿部薫は生きられなかったのだ。時代と死ぬなら、やはり72〜73年頃だったのだろう。 彼は1978年に亡くなっている。
しかし、五木寛之が言っていたように、人の生死については、曰くいいがたしのところがある。 ジャズ喫茶のママさんコンビには、実際に手を焼きそう。どちらのママさんとぶち当たっても、ハイ、おっしゃる通りです、と、うなづいて、早々に退散した方が良さそうだ(爆)。
「ジャズより他に神はなし」の平岡正明が、何も語れなかったのは、なんとも可笑しく、可愛いかった。 察するに、この番組の放映は1991年12月。この番組からでさえ、2014年の今日、すでに23年が経過している。
どちらかと言うとパンタに近い世代の私だが、やはりジャズはなくても生きていける。もっと言うなら、「僕にはコミック雑誌なんかいらない」。僕のまわりは漫画ばかり。 24時間365日、ライブすることが必要だ、と言った阿部薫。あともう一つ、図地反転が必要だった。
番組中でも討論があったが、アーティストの10年間の活動を、例えばレコードを集めようと思えば、現在なら一日もかからないでできるだろう。そのアーティストのことをソーカツすることなど、難しいことではない。
しかし、それでそのアーティストのことを全て知った、ということにならないのは当然のことである。あるいは、たった一枚のCD、あるいは一曲、一音だけで、そのアーティストの全てが分かってしまう、ということも、理論的にはあり得る。
問題は、そのアーティストを理解するということではなく、その音楽、その芸術に対峙した時の、自分とは誰かを理解することが問題なのだ。だから、そもそも長年に渡ってアーティストと深い関係を結んできている人々やディープなファンに、人物論や音楽論を仕掛けて、昨日今日の一見さんが勝てるわけはないのは当然だ。
だが、外部ではなく、内部にこそ、大事なコアがあるとするなら、ここは臆することなく、自らの感性をメモしておくことにする。
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コメント
久しぶりにこのビデオを5/25まで、チラッと見た。いいね。阿部薫もいいし、出演者達もいいし、それに遅れて来た老年としての我がブログの対峙も悪くない。 ブログもね、恥さらしで、カッコ悪いし、余計な喧嘩もしなくちゃならないが、やっぱりやっててよかったよ。私の場合は、この組み合わせがなかったら、この出会いはなかった。
投稿: Bhavesh | 2018/08/02 08:02