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2014/07/24

「石川裕人蔵書市」 ひやかし歓迎! 7月27日(日)~28日(月)

Koutyou_2
「石川裕人蔵書市」ひやかし歓迎! <1>

日時: 2014年7月27日(日)10:00~17:00 2014年7月28日(月)10:00~15:00 
場所: せんだい演劇工房10-BOX BOX3 
新書・文庫・雑誌・CDなど オール100円ハードカバー オール500円 
劇作家、演出家、シナリオライター、ある時はシンガーソングライターで詩人の故石川裕人氏が所有するおびただしい数の本を蔵出しします。 文庫や新書、貴重本や豪華本、演劇関係や戯曲の資料となったであろう、本屋では入手できない逸品が並びます。
主宰/石川裕人蔵書の会(仮)
協力/萬開堂書店、ThetreGroup”OCT/PASS”、せんだい演劇工房10-BOX
お問い合わせ/せんだい演劇工房10-BOX 022-782-7510

Kuradashi

1)あれから二年が経過するのか。 ニュートン。石川裕人。3・11東日本大震災の被災地を回った 「人や銀河や修羅や海胆は」PLAY KENJI♯6。満身の力を込めて書き上げ、遺作となった「方丈の海」。おびただしい劇作。畢竟の自信作と自ら評した「時の葦舟」三部作(2011/02 Newton100実行委員会)。数えあげればきりがない。

2)ネット上にも多くの記述を遺した。劇団ThetreGroup”OCT/PASS”のホームページを初め、「石川裕人劇作日記 時々好好調」「石川裕人百本勝負 劇作風雲録」、そして宮城県復興支援ブログ「ココロ♡プレス」。彼の残した足跡は大きい。

3)幼少時から無類の本好きで、小さな時からねだるのは本ばかりだったと、お母さんは述懐する。転居を繰り返し、最後の住みかとなったのは中一の時に父が建てた生家だったが、その部屋に収まりきれない蔵書は廊下や居間にもはみ出していた。3・11では、その本だなが倒壊し、あやうく一命を取り留めたとか。

4)私はこの「蔵書市」で一番欲しいものがある。それは、中学一年時代に彼と私たちがつくった肉筆誌「ボーイズファイター」全五冊である。なぜかあの時も表紙は私が担当していた。ニュートンは、漫画やエッセイや特集を書いた。肉筆誌だから一品ものである。保存は彼が担当していたはずだ。

5)しかし、勉学の進捗を心配したお母さんが、他の漫画本と一緒にチリ交に出してしまった、ということになっている。すでに高校生時代のことだ。悪びれることなくそう言い切る彼の言葉に納得するしかなかったが、本当に惜しい。出来れば、間違ってまだどこかに残っているのではないか、と今でも思い出す。

6)彼は非常に誠実な男だったので、私は彼の言葉を疑ったことなど無かったが、彼が亡くなったあと、私は長い間、彼の虚構にまんまと巻き込まれていたことが二三あったことに気付いた。例えば、出身地のこと、あるいは名前の由来、あるいはひたいの傷。彼は彼なりのストーリーを生きていた。

7)亡くなったあと、彼の部屋をのぞかせてもらった。新書本から箱入全集まで、さまざまなジャンルに及んでいたが、やはり劇作に向けての資料が多かったように思う。宮澤賢治関連も多く、「童貞としての宮沢賢治」(押野武志2 003/04/01 ちくま新書)などは、あの本だなに並んでいたのを見つけタイトルだけ覚えてきて、私も別途取り寄せて読んでみたりした。

8)意外なところでは、アントニオ・ネグリ&マイケル・ハート「<帝国>」「マルチチュード」もあった。読むのも難解な論文集だが、その厚さも半端じゃない。値段だって、そうそう買えるものではない。私なんぞは、何度も図書館から借りては読み続けているものである。本道楽の彼は、こんな本もどんどん購入していたのだろう。うらやましいものである。

9)それと、彼がOshoの「ダイヤモンド・スートラ」 (1986/03 めるくまーる社)をも蔵書していたことには驚いた。彼はあまりそういうことに触れなかったが、キチンと蔭で読んでいたのかもしれない。この本は、私と彼の思い出の絆となろう。売れ残っていれば、私が引き取りたい。

10)互いの十代から友人のサキによれば、ニュートンは、若い時代に、当時の学院高校の裏手にひとつアパートを借りて、全室所狭しと個人図書館を作っていたらしい。もう人間が横になってようやく歩けるだけのスペースを残し、あとは全て本だけのアパートだったらしい。その本に囲まれて、ニュートンは、実にご満悦の表情だったとか。

11)彼の残した蔵書を一カ所にまとめておくのもよさそうだが、また、こうして、愛されるべき友人たちの手にわたり、そのスピリットが増産されていくこともよいことであろう。

 まずもろともに、宇宙の微塵となりて無方の空に散らばろう 宮澤賢治「農民芸術概論綱要」

<2>につづく

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