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2014/07/05

「裸の十九才」 監督・新藤兼人

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「裸の十九才」 
新藤兼人 (監督) 原田大二郎、乙羽信子、他(出演)  1970年公開 近代映画協会 DVD 117 分 
Total No.3288

1)★5かレインボー評価かで悩む。当ブログは犯罪に類するものに組みするものではないが、ひとつの事件、ひとりの人間の内面を深く探求する映画作品としては、飛びぬけた位置にある作品と思う。単なるフィクションではなく、実在の人物、事件を下敷きにしているだけに、そのストーリー性にも、強く惹かれる。

2)1968年に起きた事件なのに、1970年に映画化されているという、このスピード感は、一体何事が起きていたのか、と驚愕する。

3)新藤兼人監督の奥さんである乙羽信子が母親役であり、人よりスマートな原田大二郎が主人公というのは、どこかウソ臭い。160センチくらいしか身長のなかった永山則夫とはかけ離れたモデルだろうし、おそらく母親という人も、もっと時代の地方人の姿をしていただろう。

4)しかし、それにもかかわらず、その時代背景の切り取り方が鋭く、リアリティを失っていない。網走や青森での生活、性描写、何度もでてくる(10回はでてきただろう)デモ隊風景なども、説明過多になっていないだけに、鋭角的で、刺激的だ。

5)この作品はモノクロ。1970年にどのような公開のされ方をしたのだろう。Youtubeで予告編やダイジェストなどを簡単に探してみたが、なかった。連続ピストル射殺事件として有名な事件が題材だが、この映画では、そのシーンは、淡々と小さく語られるにすぎない。

6)モノクロで、ピストル音もかなり抑えた消音銃のように取り上げられている。これは1976年公開の「青春の殺人者」(長谷川和彦監督 ATG)のナイフ刺殺シーンに比べたら、実に抑えたトーンである。

7)しかし、その連続殺害のシーンよりもその人生の背景のほうが、凄惨きわまりない。

8)職業を転々とする中卒の少年。そのひとつの仕事先として書かれているのは、永山則夫も務めていたという新宿のジャズ喫茶「ヴィレッジヴァンガード」だろうか。 

9)永山則夫の死刑執行は1997年。48歳まで彼は生きていた。

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