「満月祭」 太鼓と精霊のお祭 福島県双葉郡 獏原人村 8/8~12 <2>

「満月祭」太鼓と精霊のお祭 <2>
福島県双葉郡川内村下川内 獏原人村 2014/8/8~12
★★★★★
1)獏に行ってきた。その行程については、すでに少し他の記事に追記する形で書いておいた。たくさんの体験があったので、そのうちゆっくりまとめようと思っているが、そんなことをしていると、感想も風化してしまいそうなので、すこしづつ書いておこう。
2)とにかく仙台から海岸線国道6号線を南下。5年前以上も前から使っている最小車載ナビには最新のデータは何も入っていない。獏の住所を入れると、所要時間3時間強で到着すると言っている。岩沼、亘理、山元、そして県を越えて、新地、相馬、南相馬と走る。何も知らないでいると、国道の回りの景色がどんどん変わるのが解る。
3)2時間も走ると6号線は遂に行き止まり。ふと気がつくとそこは浪江町である。地域全域が閉じられているようだ。指導員に誘導されてUターン。あちこちに、3・11の時の風景がそのまま残されている。田んぼの中に転覆しているナンバー付きの車さえまだ残っている。一部、牛も放牧されているが、これはどういう意味なのだろう。

4)さてUターンしたものの、そこからの行程は大変だった。旧式ナビは懸命に浪江町を横切って隣の隣の川内村への案内を出すが、どれも通行止めになってしまう。まぁ、結局そのおかげで、高速を走っているだけでは見逃してしまう風景をいっぱい見ることができたのだった。何処をどう走っているのか分からない。踏切があったので、そこを超えると、実はそこは常磐線の「いわきおおた」駅付近。実はそこは3・11当時のまま。線路にはペンペン草が生え、復旧のめどは立っていない。

5)何もしらない旧式車載ナビは何度も何度も浪江町を横切るコースを検出する。ところがことごとく行き止まりである。まるでカフカの小説「城」のように、そこまで近づいているはずなのだが、なんとも近づかない。
6)ウロウロしていると、除染地域に突入したようだ。あちこちに「除染作業中」の旗がたくさん目に付き始めた。おお、こここそは、「有名」な飯館村だった。おそらくこの地域も立ち入り禁止の期間があったことだろう。田園風景の中にも、人影はない。

7)たまたま近くで除染作業中だった古老に道を尋ねると、飯館から川俣町に抜けて、そこから田村市経由で小野、そしてあぶくま洞付近を通りながら、川内村に入らないといけないかなぁ、と気の毒そうに教えてくれた。「通常の三倍はかかるなぁ」、と本当に気の毒そうだった。しかしまあ、こちらとしては、遠回りであっても、愛する「フクシマ」を見ることができるのだから、これはこれでいいのだ。まだまだ午前中だ、昼間で着けばいいだろう。カーラジオもそれとなく入り、猪苗代湖ズの歌が流れたりする。
8)海岸線や原発周辺から比較すれば、内陸部の福島は至ってのどから風景である。時折通り過ぎる工事関係車両などを気にしなければ、そこが被災地であることは忘れる。訪ねた「満月祭」の道案内は、至って簡素に道端に溶け込んでいる。これが満月祭の妙味である。
9)ここからさらに数十分はしると、県道の脇にようやく「獏原人」の道案内があった。通常に走っていたら見逃してしまうようなたたずまい。そうそうこれなのだ。「自然卵」、「←獏原人村」まで「4キロ」。え~、ここからさらに山道を走るのだ。
10)ここからの山道に最初に来たのは40年前のことであった。あの当時はまだまだヒッチハイクでここまで乗せてもらい、さらにここから徒歩だった。あの当時、足であるいた風景は確かに残ってはいるが、すでに足元はしっかり固められいる。道幅も確保され、路肩もキチンと整備され、時間の経過を感じる。
11)しかし、それにしても遠い。あれ、道を間違ってしまったかな、と思ったり、一本道だが間違いようがないじゃないか、などと自問するうちに、ようやく山道に小さな、実に申し訳なさそうな看板がポツリと立っている。そうそう、これなんだよ。獏の満月は、これが、このスタイルが持ち味なのだ。まったく派手ではなく、しかも実質的に、確実に存在感を示している。
12)アスファルト道路は切れ、コンクリートで固めた坂道もやがて凸凹になり、そして砂利道になった。でも砂利もキチンと整備してあるから実に納得である。その心遣いが実に嬉しい。ほんの申し訳なさそうにすれ違う車もある。四駆だったり、県外ナンバーだったりすると、ああ、獏はもうすぐだ、と実感する。
13)心配している間もなく、ようやく辿り着いた。万歳。仙台を出発して、結局「獏」に着いたのは出発から10時間後の3時半頃になってからだった。あちこちのんびり走ってきたが、まだまだ日は明るい。
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