新訂「方丈記」 市古貞次(翻訳)
「方丈記」新訂
鴨 長明(著), 市古 貞次(翻訳) 1989/5/16
(岩波文庫)文庫– p151
Total No.3316★★★★☆
石川裕人(ニュートン)蔵書市の第13弾。タイトルがタイトルだけに、彼の遺作となった「方丈の海」との直接の繋がりを感じさせる。この本にはめずらしく、4か所に付箋がついている。読了したのは2011/11/06だが、この本は第37刷目。2011/03/15の発行となっている。じつに3・11大震災の真っただ中の出版だったことになる。
当ブログでも、方丈記は二種類読んだ。「方丈記 現代語訳付き」(簗瀬一雄翻訳 2010/11角川学芸出版)と、「方丈記」(浅見和彦翻訳 2011/11 筑摩書房)。古典中の古典につき、いずれがどうと比較するような問題ではないが、それぞれに翻訳者たちの人生観がつよく香ってくる。
前著を読んだのが2011/06/22、後者を読んだのが2012/06/13。一年を挟んで二種の方丈記を読んでみたのだが、さらに、ニュートンに倣ってこちらの市古翻訳本も読んでみるのもいいだろう。
彼の遺作となった「方丈の海」は、この鴨長明の「方丈記」と、三島由紀夫の「豊饒の海」がかけ言葉として元を成していると思う。丁寧な読み方をしていないので、すぐには指摘できないが、彼のユーモアのセンスから考えれば、それは多いに在り得るドラマツルギーである。
4か所に貼りつけてある付箋は、決して代表的な部分ではないのだが、おそらく芝居の中に描写する時に必要になる部分であったのだろう。いずれ時間ができたら、この4か所を深読みするのも面白そう。
彼が大作家として評価され、もっともっと時代が過ぎてしまった後なら、この本に残された付箋の意味するところが、大きな話題を生む、なんてこともあるかも知れん、とひとりほくそ笑む。
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