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2014/09/23

「シェルター」 ロイド・ カーン <2>

<1>からつづく

Photo

「シェルター」<2>
ロイド カーン (著), 玉井 一匡 2001/10 ワールドフォトプレス 大型本: 175p
★★★★★

 前回この本を読んで当ブログにメモしたのは2011/03/10。実に、あの3・11の前日のことだった。あのまま何事もなくことが進んでいれば、山の椒におけるプロジェクトも、もうすこし早い展開になっていたのは間違いない。

 この3年半の足踏みがなんとも惜しい気がするが、また、それも必要な旅であったのだ、と理解することも出来る。

 さて、山の椒における住居スペースの創造となると、思い出すのは、この三冊である。

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 このうち、「手作りガーデンハウス」(2005/10 学研)の部分に関しては、「男のロフト主義。」(「Pen (ペン)」 2004/0 4/15号  阪急コミニュケーションズ)や「可笑しな小屋」(ジェィン・フィールド=ルイス 2013/12 二見書房)に引き継がれて、ほぼ卒業時期に達している。

 次に思い出すのは「現代建築家による“地球(ガイア)”建築」 (乙須敏紀 2008/11 ガイアブックス/産調出版)である。何度も登場するが、この本におけるトップ・イメージは一枚の画像にある。
Gaia

 おそらくこのイメージは、現在のコンテナハウスの整備・修復が終了すれば、私の中のなにかはすっかり終息していくものと思う。あるいは、それまでの命であるようでもある。そしてその次にやってくるものこそ、このロイド・カーンの「シェルター」であろう。

 ロイド・カーンについては、3・11直後よりも、「家を建てたくなる力がわく『ホームワーク』」 ( 2005/10 ワールドフォトプレス)や、「スペクテイター」<30号>( 2014/05 幻冬舎)における紹介記事に目を通した今、カーンは、より身近な存在になったとは言える。

 山の椒に入り、火の神様、水の神様に感謝しつつ、火をおこそうとする時、持ち込んだ古新聞や段ボールの切れ端などで火をつけるより、コンテナハウス周辺に散らばっている杉っ葉をかき集めて、火つけする方が効率的である。

 杉っ葉は、逆に言えば、活用方法がなければ、掃除するだけが手間の邪魔ものになってしまう可能性もある。

 惑星地球が私たちに与えてくれているものを活用すること。そしてそれで小さな家を一軒つくってみること。これは、大きな意味を持つプロジェクトである。

 ハウスと言えばログハウスばかりに目が行くが、どうもコマーシャル化していて、金額も張る。そもそも、家作りとは、そんなに金がかかるものであろうか。

 これだけの4万坪という広大な空間を与えられた今、人間一人がひと時の生活をするための空間をつくる材料は、限りなくあると言える。

 もちろん自生している杉を切り倒してログ材にすることも可能であるし、例えば、山道の行く手をふさぐ蔦類も、場合によっては頑丈なロープ類になる。必ずしもナタや刈り払い機で切って脇によけるだけが方法ではない。

 そういう目で見れば、ススキだって、屋根を葺く材料になるだろうし、乾燥した枯れ葉たちだって、ふかふかの床やマット類に早変わりすることもあろう。

 山で暮らすのに、街から商品化された建材をドカドカ持ち込むことは、考えようによっては愚鈍である。目の前の宝の山が見えていない、ということになる。 

 そういう視点と感性が生まれてくれば、もう自然と対峙するかのような「現代建築家による“地球(ガイア)”建築」 などは目に入らなくなる。

 そんな時こそ、このロイド・カーンの「シェルター」の出番となろう。読めばなかなかヘビーであり、利用する野性がない立場においては、それこそ夢物語にすぎないが、今ポンと利用可能なフィールドがあり、家一軒を作ろうとしたら、いまこそ、この本の出番である。 

 ゲーリー・スナイダーは「地球の家を保つには エコロジーと精神革命」(片桐ユズル訳1975/12 社会思想社)で言う。

 エコロジー(ecology)の”eco”(oikos)の意味は”house”。すなわち地上の家を保つこと(Housekeeping on Earth)。 p226

 山やウィルダネスに入って、その土地であるもので、家一軒作ってみる。このワークこそが、エコロジーの原点であり、精神性に革命をもたらすきっかけをつくるであろう。その段階になれば、詩的かつ哲学的スナイダーよりも、より具体的な建築にこだわってきたロイド・カーンのこの一冊こそ、素晴らしい指南書の一冊となってくれるに違いない。

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