「パーマカルチャー菜園入門」 自然のしくみをいかす家庭菜園 設楽清和<2>
「パーマカルチャー菜園入門」 自然のしくみをいかす家庭菜園<2>
設楽清和 2010/08 家の光協会 単行本 159p
★★★★★
このところコンテナハウス改造で、やや興奮ぎみである。大工仕事というよりは、鉄骨仕事になっているので、気が荒い。イメージはどんどん湧いてくる。それに何処まで体と時間がついていくかが見ものである。
とにかく「場所」が見つかったあとは、自らの腰を落ち着ける「家」が必要だろう。屋根が必要であり、椅子が必要である。お茶のための、水と、火、が欲しい。
腰を落ち着けて、周囲を見渡してみると、要るものと要らないものが渾然としてあることが分かる。これは要るからここに置いておいて、あれは要らないからこちらに運んで、と考えていると、あっという間に時間が過ぎる。
それにつけても、とにかく「家」が必要だ。コンテナハウスの頑丈さとともに不器用さが目立ってきたこの頃である。あれこれしたいが、なかなか思うようにはいかない。その中でも、とにかく窓を付けて、雨仕舞いをし、薪ストーブを設置して煙突をつけよう。
枕木の土台は、もうすこし増やして、傾斜を治そう。窓から見える景観も、もっときれいにして、すっきりさせよう。そんなこんなを街に戻ってからも、あれこれイメージしていると、あっという間に夜は更ける。
こんなに興奮している夜は、焼酎でもかっくらって、さっさと寝てしまうのに限るのだが、どうも今日は頭が冴え冴えとして眠れない。
そんな夜には、図書館から借りだしてきたこの本が、やさしくクールダウンしてくれる。
パーマカルチャー入門。前回読んでいたのは、2011/03/01。実にあの3・11東日本大震災の10日前のことであった。
あのまま事が進んでいたら、おそらく、今頃、「家」づくりでは悩んでいなかったであろう。もっと進んだ形で、作物や全体のグランドデザインの複合的組み合わせなどに、焦点は移っていただろう。
でも、と思う。3年半前のまま進んでいたら、ひょっとして、とんでもない方向に進んでいた可能性がある。今思えば、あそこで一旦ブレーキをかけられたからこそ気付いたことがある。それはそれは沢山ある。
パーマカルチャーの基本概念は、本当はそう難しいものではない。実践しながら、ひとつひとつは実に妥当性に満ちた方法論が満載されている、というだけである。本当にその神髄を学ぶのはこれからとして、まずは私がパーマカルチャーから、たったひとつ始めようとした場合、大事なポイントだなと思っていることがある。
それは、まずは入り口から、家の周りから、ということである。
前回、3年半前は、手の届かないところまで大きな視点で見すぎ、ある意味バラバラだった。3・11がなかったとしても、結果としては空中分解することは必然であったのではないか。むしろ、3・11にかこつけて、そのバラバラな方向性だったことを隠蔽しているだけかもしれない。
そもそもが、山の椒を「菜園」と捉えた場合、いくらなんでも車で40分は遠い。毎日毎日行ける距離でもなければ、また、その往復時間がもったいない。本当は、そこのところから無理がある。
しかしながら、結果として他の「場所」が条件に合わなかったのだから、まずは与えられた「場所」を大事にしよう。
さて、その場所の入り口から「家」までは、おおよそ100mある。ちょっと長すぎる。そして、そこからさらに数百メートルにわたって土地はつづくわけだが、前回は、そちらに目が行ってしまって、限界ある力が分散してしまっていたように思う。
今回は、まずは、この家の場所が本当に正しいのかどうか、から検討に入っている。その視点から見た場合、いままで見過ごしてきた、その100mの中に、素晴らしい魅力がたくさん隠れていたことに気付いた。これを生かさないで、何を生かすのか。反省すべきことは多い。
本来であれば、この土地の活用方法は、週末に夫婦で、あるいは友人たちと一泊しながら時間をすごすのが一番のようである。
まず毎日いるわけではないから、家畜は飼えない。ヤギ、ニワトリ、カモ、魚類も無理だろう。
それと、周囲にいる動物たち、イノシシ、鹿、サル、熊たちとの共存を計るうえで、作付けする品目も検討していかなければならない。
そして、その作業を誰がやるのか。週末の天候はどうか。一週行けなかったら、作物はどうなるのか。
これから検討していくべきことはたくさんある。
だが、現在進行中の作業では、具体的に、アルミニウムでできたコンテナハウスと、金属的に格闘して、なんとかある程度の形を出さなければならない。
その力みと、はやる気持ちを押さえてくれるかのように、パーマカルチャーの、おだやかな、ほんわかしたエネルギーが、今夜はここちいい。
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