今日の気分はこの3冊<6> 「For the Children 子どもたちのために」 ゲーリー・スナイダー
<5>からつづく
今日の気分はこの3冊<6> 「For the Children 子どもたちのために」 ゲーリー・スナイダー
本来、このエッセイのテーマは「今日の気分はこの三冊」である。よくもわるくも、一冊に決めこめない弱さがある。三冊の共通項、あるいはその三角形の真ん中にある空間、というイメージであった。
しかるに、今日はそうはいかない。今日のテーマは「この一冊」である。
山の椒ワークキャンプに持っていく本をあれこれ選定していた。結局は現地で、本をひらいてあれこれ談義する時間はそれほどない。そして、持っては行ったものの、この一冊、と出せるものは、そう多くない。
そう気付いた時に、今回はこれだろうと選んだのはFor the Children 子どもたちのために」 ゲーリー・スナイダー(2013/04 新泉社)だった。スナイダーのアンソロジーにして、キットキットディジーの写真も多い。日本における関係者のコメントもあり、なんにせよ、3・11後を意識した編集意図に共感できる。
ワークの途中のティーブレイクにYoshiroに見せてみる。彼は「聖なる地球のつどいかな」(1998/07 山と溪谷社)の愛読者でもあるから、「その続刊の写真集にあたるものだよ」と説明すると、興味深そうにしげしげとみていた。
そして、図書館のシールを見つけて、「あれ、これ図書館から借りてるの?」ときた。
「そうなんだよね、この7~8年は図書館から借りて間に合わせている。本を集めてもどうせいずれは遺品回収業者の手を煩わせることになるから、本は買わないことにしたよ」
と、そう説明しながら、実は、この本をワークキャンプにいく前日に、ブログのアフェリエイトのポイントで購入していたことを思い出した。
「実は、今日か週明けには、届くことになっているんだ」
借りて読むのも悪くないが、どうせ発生してしまったポイントを消化するなら、まずはこの本を手元におきたい。
スナイダー本も、今手元にだいぶあるが、それをあれこれ3冊選定するよりも、アンソロジーではあるが、薄手の写真満載の、この一冊に決めてしまったほうが早い。
今、スナイダーの本の、何か一冊紹介して、と言われたら、まずはこの本がいいであろうし、一冊、カバンに忍ばせておきたい、というなら、コンパクトなこの本に限る。
もう一つ。世の中は、いろいろなヴァイブレーションに溢れている。似たような友人間にも、それぞれの思いの流れが流れていて、思い定まらないところが多い。
山の椒から帰ってみれば、いろいろな波があり、自分が山の椒に関わっていることの意義が問われてくることが多い。山の椒を今、一番の突破グチとしているのは何故か。
自宅に戻ってみれば、やっぱり届いていたこの本。すでに内容は分かっている。別途一冊手元にある。開封するまでもない。
しかし、これからまた、山の椒に戻ろうとするなら、その時、私に一番のエネルギーを与えてくれるのはこの本である。というか、もうこの本しかない。ヘッセでも、山仕事やパーマカルチャーのハウツウ本でもない。
ましてやスナイダーのあれこれではない。スナイダーの、しかも多くの人たちの思いがたくさん詰まっていて、なおかつコンパクトに編集された一冊。「For the Children 子どもたちのために」。
私は、この本を露払いにして、あるいはお守りにして、あるいは友として、またあの森に行くだろう。
きょうの気分は、この一冊だ。
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