アンドレイ・タルコフスキー(監督)「ストーカー」
「
ストーカー」
アンドレイ・タルコフスキー(監督)
アレクサンドル・カイダノフスキー(出演), アリーサ・フレインドリフ(出演), 1979年作品 形式: DVD 形式: Black & White, Dolby言語: ロシア語 字幕: 日本語 160 分
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No.3351★★★★★
アンドレイ・タルコフスキー監督「惑星ソラリス」 (1972上映)についてメモしておいたら、naoさんから、コメントがついていた。
タルコフスキー、他の作品も是非見てくださいね。鏡、ストーカー、紛れも無く「映画」です
個人的にストーリーは二の次と、偏った見方ですが…
今年のぴあフィルムフェスティバルのキャッチは
「日本のニューウェーブとタルコフスキー」
20代の頃にハマったオヤジには条件反射でチラシに手が伸びていました 投稿: nao | 2014/12/08 14:21
おや、これはと思い、わが図書館を検索したところ、あることはあるのだが、所蔵館に行くことが必要だったり、館内視聴だったりするので、すこし敷居が高いことが分かった。そこでネットを検索したところ、動画でいくつか配信されていることを確認した。
とりあえず、20分くらいで8分割されているほうを視聴した。何時ものように、ほとんど何の予備知識のないままであったため、しかも、配信がいまいち手順が悪いため、そのいくつかは飛ばしてみたか、あるいは順序を逆にして見ることになった。
しかしながら、実にこれは、確かに私向きだ、と思った。少なくとも、蛍光管のような光る棒を振り回してチャンバラごっこをしたり、法外な予算を組んで世界的なヒットを狙わんとする総花的な興行映画よりは、こちらの方がグッと来る。
最初から見ていてすぐ気付いたことは、この監督は、積極的にシンメトリーの構図を多用しているということ。最初は白黒画面で、あとからカラーになるのだが、ほとんど、薄墨の水墨画のような配色で、モノトーンと言っても過言ではない。
シンメトリーなのは右と左ばかりではなく、上と下もシンメトリーだったりする。登場人物は、舞台作品のように上手から登場して下手に下がる、などという動きではなくて、こちらから画面の中央の向こうに去っていく。あるいは画面の中央から登場して、こちらに歩いてくる。
このような構図を見ていると、まるで横尾忠則の初期のポスター群を思い出すし、あるいは、そのチームである寺山修司の映画を思い出したりした。少なくとも、シンメトリーの構図を多用されると、自分の気持ちがあちこちに散乱せず、中心に集約されていくようである。
そして、横尾のポスターが、どこかでユーモアや意外性に逃げていくように、また寺山作品には突然の「劇的」画面転換があるように、観客を飽きさせない意外性が仕掛けてあるのだが、タルホコフスキーはそういう手法をとらない。実に淡々としたストーリーである。
あるコメントには「退屈」な映画だ、とあったが、実にそうかもしれない。見るタイミングを間違うと、退屈を超えて、見ることすらできないかもしれない。少なくとも、私はせっかくのお勧めだが、何本も連続してこの監督の作品を見続けることはできないだろう。
この作品は、エンターテイメントとして見るような映画ではないようだ。見させられるのは、自分の内面だ。なるほどなるほど、と終わってみれば、ストーリーはしっかりしていて、なんだそういう構図か、とわかるのだが、見ている間は、一体これはどうなっているんだ、と自分の内的世界を逡巡する。
しかも、ストーリーや画面進行が、じつに「退屈」なので、自分の内面を見ざるを得ない。160分のうち、100分以上は、たった三人だけの役者で引っ張る。しかも画面は、据え置きの一構図がずっと続くことが多い。
まったく完全に据え置きで撮影しているわけではないことは、雨のシーンや、移動カメラの動きで感じることになるのだが、それさえも最小限に抑えられている。
いやはや、続々する映画だ。ストーリーそのものよりも、結局は、最後の最後の、娘役の存在が、ゾクゾクゾク・・・・・って感じさせてくれる。
いつかはゆっくり、また、大画面で一挙に160分、見る時が来るかもしれない。その時の、自分の印象はどう変化しているだろう。
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