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2015/01/03

「おとなのiPhone 」高橋 浩子<5>モンスター・サイエンス

<4>からつづく

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「おとなのiPhone」 一目置かれる使いこなし術 <5>
高橋 浩子(著), パソカレッジ(監修) 2014/5 技術評論社 単行本(ソフトカバー) 208ページ
★★★★★

 例年、年賀状はXP機で印刷している。宛名ソフトがXP機対応だからだ。年一度の決算会計ソフトもXPじゃないと動かない。もちろんヴァージョンアップすればいいだけのことなのだが、年に一度であれば、その必要はほとんどない。

 そもそも私にとってはXP機は高嶺の花だった。ずっと98や2000を使っていて、結局はお下がりのXP機を使っているうちに、それを通り越してVistaなどをつかうようになった。

 XP機はすでにサポートされていないので、ネットから切り離してスタンドアロンで使っている。逆にいうと、我が仕事は今でもXP機にお世話にならないと、進行しない。

 私の周りではいまだに黒電話を使っている家庭が複数ある。考えようによっては、別にこれで用は足りる。私は今iPhone6plusに変えたばかりで、夢中になっていて、黒電話オンリーになるなんて考えようもない。

 しかし、黒電話しかなければ、それはそれで生活はしているだろうと思う。私はなぜ黒電話を卒業したのかというと、あの当時、黒電話のコードの長さが決まっていて、それ以上伸ばすには料金がかかったのだ。

 布団の中で電話をしたかった私は、延長コードを有料でつかうなら、と、サードバーティの電話機を使うようになったのではないだろうか。その後、仕事で必要になってミニファックスも導入した。

 パソコン通信なんてものができて、受話器カプラーなんてものもあったなぁ(笑) 公衆電話でこのカプラーから送信できるなんていうことが話題になったこともあった。いまや、公衆電話も街から姿をほとんど消してしまった。

 私は別にiPhone6plusがどうしても欲しかったわけではなく、つまり森でネットつながりになるには、どうしても特定のキャリアと最新通信ソフト環境が必要だったのである。だから私自身が黒電話に戻るということもあり得ないし、できればファクス機を廃棄して添付ファイルオンリーにして欲しいとさえ思うが、時代はまだそこまで行っていない。

1)イノベーター(革新的採用者)

2)アーリーアダプター(初期採用者)
3)アーリーマジョリティ(初期的多数採用者)
4)レイトマジョリティ(後期多数採用者)
5)ラガード(採用遅滞者

 私はこの範疇で言えば、3)であろう。世の中のちょうど真ん中か、若干、2)に近い位置か。

 美術品で言えば、どんなに古くても、どんなに突飛でも、個人で所有する分には個人の感性に従って、なんの問題もない。売買を目的としないのであれば、価値などは、自分の中で確認できればそれでいい。

 しかし、ITがインフォーメーション・テクノロジーという限り、発信力も受信力も問われる。そして、それが科学の進歩や技術にサポートされなければ、存在しない。

 私は、スマホや超電子社会に対しては賛成派なのだが、ひとつ心配ごとがでてきている。

 最近、やたらと生活空間に登場しているアンテナ群の増加だ。気付いてみると、あちらにもこちらにも、電波塔がにょきにょきと、あまりにもすごいスピードで繁殖中である。これって、本当に健康被害はないのか。

 モンスター・サイエンスと言えば、あの超音速機コンコルドを思い出す。もっと高速の飛行物体を創り出すことは可能であろう。しかし、弊害も大きい。それを利用する必要のある人も多くない。経費も莫大なものになる。既にコンコルドは廃棄された。

 例えばリニア・モーター。それは誰が誰のために開発しているのか。それは産業界が産業界の利益のために開発しているだけではないのか。窓の外も楽しめないようなトンネル移動手段を、本当に私たちは必要としているのか。


 原発は言わず
がもなである。すでに完全にモンスター・サイエンスとして葬られるべき段階になっている。今だに必要としているのは、上のレベルで言えば、4)や5)の人々だ。いずれこの人々も消えていくだろう。

 今、イノベーターたちは、原発などと数段違ったレベルを研究しているに違いないし、そうあって欲しい。いま直ぐには消えないが、原発はいずれ消えざるを得ない技術である。

 この地球上にはさまざまなレベルの成長、発展、進化がある。一元的に繋がることはかなり先のことになるだろうが、みんなが同じ空を見ているかぎり、いつかはそうなるはずだ、という想いがある。

 私は専門の科学者でもなければ、グローバル経済を理解している訳でもない。ひとりの老人に過ぎないが、同じ空をみている、という意味では、私もいまだに一人の地球人である。


 あらゆる多様性を受けいれつつも、真理としての内的な空を感じる限り、試行錯誤を重ねた結果、いつかは、全体の進化が着々と進むはずだ、という予感はある。

<6>につづく

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