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2015/01/29

「『反原発』異論」 吉本 隆明

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「『反原発』異論」
吉本 隆明(著)  2015/01 論創社 単行本 272ページ
No.3381★☆☆☆☆

1)図書館の新刊コーナーにこのようなタイトルの本があれば、とりあえず手に取って確認することになる。ましてや著者が吉本隆明となれば。

2)本著は大きく「3・11/以後」と、「3・11以前」の二つに分かれており、当然、当ブログとしては前者のほうに強い関心を持つ。

3)ただし著者は3.11後ほぼ一年後の2012/03/16に亡くなったので、ほんの一年足らずの間に受けたインタビュー記事が中心となっている。ほとんどは雑誌やオムニバス本に収録されたものの再編集である。

4)この本の可笑しなことは、まず前文を書いている副島隆彦なる人物のトンチンカンな文章から始まる。

5)いずれの爆発(四つの原子炉の爆発)でもメルトダウン(炉心溶融)は起きていない。今の今でも「メルトダウンが起きた」と騒いでいるのは、ものごとの真実を明確に自分の脳(頭)で確認しようとしない愚か者たちである。

 原子力工学の専門家たちの意見を今からでもいいから聞くべきである。私はたくさん聞いた。彼らを”御用学者”と決めつけて総なめに忌避したことの報いが日本国民に帰ってくる。p003 副島隆彦「悲劇の革命家 吉本隆明の最後の闘い」

6)18歳から40余年、吉本隆明を読み続けたとする、自称「吉本隆明主義者」(p01~02)の、2014年秋の著述である。東京電力であれ、政府であれ、原子力工学者であれ、いまや一台もメルトダウンしていないと主張できる人間はいないだろう。

7)いまやメルトダウンよりさらに進んでメルトスルーしている可能性が高い。少なくとも副島のように主張するのは無理がある。この言葉自体、そっくりそのまま書いた本人に降りかかるだろう。

8)日本の原子力発電所や原子力関係で死者が出たとか、放射能汚染に侵されたという例は、戦争のときの広島・長崎の原子爆弾と、焼津の漁師さんがアメリカの水爆の実験場の近くに出漁して、放射能を浴びて亡くなった以外にはないわけです。 

 少なくとも日本では、半世紀、死者を出すような事故はないんですから、逆に考えて、「これほど安全なものはない。航空機よりも安全だ」ということになるんですね。p249吉本隆明「原子力・環境・言葉」1994/10

9)1999/10の東海村JCO臨界事故がおこる以前の発言とは言え、すでにスリーマイルやチェルノブイリの事故が起きていたのを知りながらの暴言である。ましてや3・11後にこの発言を敢えてこの新刊に掲載すべきだったのであろうか。

10)原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、という点にある。

 燃料としては桁違いにコストは安いが、そのかわり、使い方を間違えると大変な危険を伴う。しかし、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。p114吉本隆明「科学に後戻りはない」2011/08/05「日本経済新聞」

11)当ブログがこの本をメモしておくのは、スチュアート・ブランドの「地球の論点」(2011/06 英治出版)と対比してみようと思ったからである。ブランドの方は地球温暖化を避けるには原発推進しかない、という結論づけであったが、吉本御大の方は、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない、という支離滅裂な自己撞着によるものである。

12)この本、「自然科学者としての吉本隆明」奥野建男」257pという一章で締められているが、とてもとてもこの程度の論理性では、吉本を思想家とも科学者とも呼べない。噴飯ものの一冊である。

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