「プログレッシヴ・ロックの哲学」巽 孝之
「プログレッシヴ・ロックの哲学」
巽 孝之 (著) 2002/11 平凡社 単行本: 142ページ
Total No.3371★★★★☆
ピンクフロイドの新アルバムについて何人かの友人が話題にしていた。そのうち自分も聞こうと思っていたところ、ネットに一枚だけとは言え、まるまんま視聴できるコーナーがあった。おやおやと思いつつ、SNSにはりつけておいたら、CDで聞くより音質が悪い、という書き込みがあった。
当然のことであろうと思いつつ、何故か、その書き込みに反応している自分を発見した。
大きく端折っていえば、私は生粋の音楽ファンでもなければ、オーディオマニアでもない。極端にいえば、音楽などなくたって生活できる人間なのである。今更、ことほど左様に音質がどうしたなどとのたまわれても、あんまり意味がないのだ。
おっしゃることはその通りなのだが、なにも今更そんなこと、私のスレに書きこんでくれたりしなくてもいいと、何か、自分の中の堆積物に引火したのだろう。そのような爆薬、地下マグマが、どこにあるのか、自分でもよくわからないことがある。
さて、自分のが好きな音楽の分野はなに?と聞かれれば、やはりフュージョン系かプログレと答えることになる。だが、かと言って音楽論を戦わせるほど聞いてもいないので、まぁ、特にないです、とお茶を濁しておくほうがいいのだろう。
この本は、ピンクフロイドをキーワードとして我が図書館を検索したところヒットした一冊である。「プログレッシヴロック」というところもいいが「哲学」というところも、我がハートをヒットした。
著者は「『2001年宇宙の旅』講義」の巽孝之。1955年うまれということだから、時代体験的には、私の同等か、やや若い、二学年下である。あの時代に登場したロックシーンをリアルタイムで体験していて、それを個的な一冊としてまとめているんだから、一般性には欠けている。しかし、類書をまだ読んでいない当ブログとしては、小さな本ながら、なかなか興味深く読んだ。
キング・クリムゾンは「恐竜」で自らの音楽遺伝工学的な復活を歌い、ELPは19世紀音楽と 20世紀音楽の間に対位法的関係を構築したが、さてイエスはヨーロッパ的自然とアメリカ的自然が溶け合う幻想的庭園を徹底的に探求した。これら三者のアプローチが交差するところにこそ、プログレッシブ・ロックといわれる音楽の本質が立ち現れる。p92「イエスまたはポストロマンチック・ファンタジア」
このトリニティの中に私の好みが入っていないのが残念だが、著者がいうのももっともという気もする。つまり、逆説的にいうと、私の本当に好きなジャンルは、かならずしもプログレッシヴロックだったとは言いにくい。いずれにせよ、我が狂気やら奥深くのマグマなどは、これらのプログレでは解放されなかったと見える。
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