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2015/02/03

「第五の権力」---Googleには見えている未来 エリック・シュミット他

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「第五の権力」Googleには見えている未来
エリック・シュミット(著), ジャレッド・コーエン(著), 櫻井 祐子(翻訳) 2014/02 ダイヤモンド社単行本(ソフトカバー) 424p
No.3385★★☆☆☆

1)原題は「THE NEW DIGITAL AGE」Reshaping The Future of People , Nations and Business である。第五の権力というニュアンスはない。

2)しかし、前文はこう始まる。

国家権力は立法・司法・行政、
いわゆる三権で統治されている。
それに加え、20世紀型の報道機関は、
政府を監視する役割を担う
「第四の権力」といわれた。

2025年、世界人口80億人のほとんどが、
オンラインでつながる。
誰もがインターネットへアクセスでき、
誰もが世界中とつながり、自由に発言をし、
革命を起こすパワーさえも手にできる。
一見あたりまえのように思えるが、これはすごいことだ。

これからの時代は、
誰もがオンラインにつながることで、
私たち1人ひとり、80億人全員が
新しい権力、つまり「第五の権力」を
握るかもしれない。
前文より抜粋

3)しかしながら、個人的に私は、この言葉に違和感を覚える。そもそも権力は一つなのであり、その全権が暴走したり横暴化することを避けるために一つの権力を三つに分けて、相互監視の安全弁を設定したのである。

4)マスメディアを「第四の権力」と呼ぶのは、それは単に皮肉を込めたニックネームであり、明文化されたものではない。マスメディアは「権力」ではない。むしろ反「権力」であり、権力行使の監視役を担っていると、考えるべきである。

5)一つの権力を三つに割るのか四つに割るのか、という話ではない。

6)従って、マスメディアに倣って、インターネットを「第五」の権力とするのは、極めて違和感を感じる。一つの権力を五つに割って、1/5をインターネットが持つ、などというのは、いささか、滑稽な話であろう。

7)そもそも、王政でもなく、独裁政治でもない、現代社会の民主主義世界において、権力は、人々のものである。それを単に「三権」にゆだねているだけであり、主権は人々にある。

8)私たち1人ひとり、80億人全員、主権者であり、全権を握る、第一の権力であるべきなのである。決して「第五の権力」などに甘んじてはならない。

9)原題は「THE NEW DIGITAL AGE」Reshaping The Future of People , Nations and Business である。「新しいデジタル世代」人々、国家、ビジネスを再形成する、とでも翻訳されるべきところであろうか。国家やビジネスはともかく、人々がインターネットを通じて、第一権力として「再形成」される、というのであれば、本義に通じるものと思われる。

10)内容的には「角川インターネット講義」の縮小版という趣きもあり、出版年から思いなおせば、この本を元にして「角川インターネット講義」が展開された、というべきか。いずれにせよ、広義的に現在のインターネット状況と人々の存在様式を考えれば、おのずとこのような形にならざるを得ないだろう。

11)決してGoogleだけや、その会長エリック・シュミットだけに「未来」が見えているわけではない。むしろ、これから10年後、Googleやその関係者がインターネットの主導権を握っているなんて保障はなにもない。いやむしろ、新しき潮流が台頭してきている可能性のほうが大である。

12)しかしながら、ざっとひととおり目を通してみると、この本は、まるで「角川インターネット講義」の中の「「仮想戦争の終わり」 サイバー戦争とセキュリティ、を拡大し詳細に述べているような内容だった。

13)「Googleには見えている未来」などと洒落た言い方をしているが、これではまるで、脅迫状のような内容だ。

14)ほとんどの人は、オンラインに痕跡を残していても、自由や命が脅かされることはないため、テクノロジーの扱いには無頓着だ。
 サイバーテロリスト自身は、異様なほど気を遣っていても、その友人たちはどうだろうか。連絡をとり合っている親類は? それに、オンラインで活動するテロリストの全員が全員、十分に慎重な行動をとるとは限らない。
p264「テロリズムの未来」

15)私はテロリストでもないし、将来そうなるつもりもない。割とプライバシーの管理にはルーズなほうではあるが、決して無関心ではない。そこそこに独自のセキュリティ対策を講じている。でももちろん完全ではない。であるからして、仮に友人の中に「テロリスト」」がいるかも知れないが、この程度の人間だと理解して、あまり近づかないでね(お願い)。

16)モバイルプラットフォームを利用した市民ジャーナリズムは、治安維持にも役立つだろう。モバイル機器を携えた市民は、誰でも証人や捜査官になれる。市民はどんな法執行機関よりも広く分散していて、いつでも悪事の証拠を記録できる態勢にあるからだ。p380「復興の未来」

17)当ブログは自ら「ジャーナル」をタイトルに使ってはいるが、実は、政治にもジャーナリズムにも、深く失望しており、心から期待するところは少ない。「市民ジャーナリズム」などという甘言には、近づかないでおくに限る。

18)世界の携帯電話ユーザーの90パーセント以上が、端末を1日24時間、つねに自分の半径1メートル以内に置いているという。
 過激派だけが例外だと考える理由は何もない。彼らは自衛のために定期的にバッテリーを外すなど新しい手順をとり入れはしても、携帯電話の使用を完全にやめることはない。
 つまり、軍や警察によるテロリスト奇襲作戦は、従来より大きな収穫をもたらすということだ。テロリストを1人とらえれば、ネットワークを、一網打尽できるのだから。
p268「テロリズムの未来」

19)高機能スマフォをようやく手に入れて、やれやれ、などと思っている私などは、その、本当の意味の「恐ろしさ」に気付いていない、ということになる。

20)コネクティビティと携帯電話が世界中に普及することで、市民は過去のどんな時代よりも大きな力を手にいれるが、それには代償が伴うことも知っておくべきである。特にプライバシーとセキュリティに関わる代償だ。p399「私たちの結論」

21)Google会長のエリック・シュミットはともかくとして、共著者のジャレッド・コーエンは32歳。若いと言えば、あまりに若い。若い執筆者にありがちなことは、ものごとをセンセーショナルに書きたてて、注目を浴びようとすることだ。この本には、そのような意識的な、若気の至りにも似た、汗臭さ、精液臭さが感じられる。

22)この本、かなり偏っている。

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