「インターネットの基礎」情報革命を支えるインフラストラクチャー 角川インターネット講座(1) 村井 純他<2>
「インターネットの基礎」 情報革命を支えるインフラストラクチャー 角川インターネット講座(1)
<2>
村井 純, 砂原 秀樹, ヴィントン・グレイ・サーフ 2014/10 角川学芸出版 単行本 256p
1)「角川インターネット講座」全15冊の基調となる第一巻であり、また村井純が監修しているので、まんべんなく、全体的に目配りした一冊と言える。しかしながら、インターネットの歴史などについては、すでに陳腐化している部分もあり、今さらという気にもなる。
2)初めてインターネットに触れる人、あるいは、あらためておさらいしておこうとする読者にとっては、お手頃な復習となるだろう。
3)インターネットがどんどん普及して、新しいものが好きな人たちだけではなく、誰もが使う道具になったとき、2つの現象が現れた。
ひとつは、インターネットはもう当たり前のことになっておもしくもなんともなくなり、興奮は小さくなっていったことだ。一方、実用で使う人たちが増えて、実社会にものすごく役に立つようになった。それと同時に、悪いことに利用する人も現れるので、それから守る必要がでてきた。ともあれ、インターネットは産業へも影響と革新を運んできた。p016「フロンティアの流儀」
4)実際には、まだまだインターネットの可能性は未知数なのであり、先端のイノベーターたちにおいては、ますます興奮は高まっているはずである。
5)VPNは、実際のネットワーク機器の配線関係を超えて概念上のネットワークセグメントをつくりあげる技術だ。p114「インターネットの仕組み」
6)個人的には、このVPNとやらの仕組みと活用法を調べているところである。
7)インターネットによってグローバルな空間ができることを繰り返し述べてきたが、「グローバル」という言葉には、惑星、この地球全体という意味がある。国と国をつなぐという意味の「インターナショナル」という言葉とは、考え方の出発点に違いがある。
地球規模の空間という意味のグローバル空間と、国家間を結んだインターナショナルな国際社会という2つの考え方をどう調整していくか、これからも議論が続いていくだろう。
インターネットコミュニティは、技術的な合理性を重んじ、各国代表による評決という方法ではなく、オープンな参加者による合意を好んできた。各国代表による評決になれば、国と国の交渉を含め運用技術の合理性を純粋に追求することができないという懸念がある。
インターネットは、人類がはじめて手にしたグローバル空間を共有する基盤だ。それが、人類共通、各国共通の、たいせつな基盤だという認識と理念は、共有できるであろう。p210「インターネットを誰がどのように運用するのか」
8)ネットをネットをつなぐインターネットではなく、最終的な理想は、グローバルネットとでも表現される仕組みになっていくべきだと、私なら思う。
9)人類全員がインターネットに参加するインターネット前提社会の未来は、72億人の人間の知恵と経験の超多様性が、脳の反応に追従可能な時間で連結する世界である。国際社会における200もの国家の多様性に加え、72億の人類の多様性が重なり、新しい課題を発見し、協調し、解決することができる。p218同上
10)理念場はまったくその通りであり、そうあるべきだと思うが、私なぞは、いまだに地球上の1.5%の人間しか使わないガラパゴス言語=日本語に頼り切っているので、その活用はまだまだ遠い。
11)オープン性---オープンであるということは、インターネットの設計における最大の特徴で、それは学術的なコミュニティから誕生したという事実に大きく関係しています。(略)オープンソースもたいへん重要な役割を果たし、いまもたいせつな役割を担い続けています。p254「インターネットの再発明」
12)この15冊シリーズはまだ刊行中であり3分の1しか出版されていない。第2巻「ネットを支えるオープンソース」ソフトウェアの進化、などは大いに共感し得るものであるが、第13巻「仮想戦争の終わり」サイバー戦争とセキュリティ、あたりは、なんとも胸糞悪くなる思いがする。
14)エリック・シュミットらの「第五の権力」---Googleには見えている未来、なども、読んでいて、がっくりするような内容が含まれているが、インターネットがより実質的な「グローバルネット」に進化していく姿をぜひ見たいものだ、と思う。
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