「仮想戦争の終わり」 サイバー戦争とセキュリティ 角川インターネット講座 (13) 土屋 大洋(監修)
「仮想戦争の終わり」 サイバー戦争とセキュリティ 角川インターネット講座 (13) 土屋 大洋(監修) 2014/12 角川学芸出版 単行本: 347p
No.3383★★★★☆
1)「イスラム国」よる日本人ジャーナリストら殺害事件における行為は、見る角度によれば立派な「戦争」である。その手口は、ネット空間を使った大仰なものであったが、使われた技術は、インターネットに短い動画を流すという、極めて初歩的な技術に支えられた心理「戦争」であった。
2)本書における「戦争」はもっと込みいった最新技術による戦いである。専門的なことはあまり関心が続かないし、そもそも性善説に重きをおく当ブログとしては、あまり深入りしたくない分野である。
3)というのも当ブログは、個人に重きを置いており、守るべき「国」や「組織」を想定していないからである。守ることからも、攻めることからも、できれば遠ざかっていたい。
4)サイバー攻撃の場合には、それが戦争行為なのか、犯罪なのか、あるいはテロなのかがわかりにくい。サイバー戦争、サイバー犯罪、サイバー・テロといった言葉が使われるようになっているが、その境界ははっきりしない。
サイバー攻撃の主体が他国の軍隊であり、国家の意思としてサイバー攻撃を行っていることが明らかであれば、それは戦争の行為として対処できる。
しかし、実際には、政府とはまったく関係ない民間人が個人ないしグループでサイバー攻撃を行う場合もあれば、そうした主体が政府のプロキシーとして行なう場合もある。p017「仮想戦争の終わり」土屋大洋
5)本書は現在刊行中の「角川インターネット講座」 全15巻の中の一冊であり、本来であれば避けて通りたい分野ではあるが、インターネット全体を見渡そうという場合、やはりその陰影を見落としてはならないのである。
6)「特定の強い主義主張」によるサイバー攻撃は、異なる宗教や文化、および国や地域間の衝突に起因するものが多い。p107「サイバー攻撃の主体とサイバー防衛の人材育成のあり方」名和利男
7)ここまで来ると、「炎上とバトルはネットの花」なんて洒落を言っている場合ではない。これは「戦争」なのである。しかしながら、やっぱりその時、私としては「攻撃」にも「防衛」の側にも回りたくない、というのが本音である。戦争から遠ざかるべく育成される人材こそが、スピリチュアルな「地球人」なのではないか。
8)異なる宗教や文化に対して寛容であり、国や地域間の衝突を避けることを習得することこそ肝要であろう。
9)2014年5月、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたシマンテック上級副社長のブライアン・ダイによる「ウィルス対策ソフトは死んだ」という発言のとおり、旧来のウィルス対策ソフトの仕組みによる防御は、最近のサイバー攻撃のうち、極めて高度な攻撃に対しては無力となってきている。p118同上 名和利男
10)それは大変困ったことである。専門家ならざる個人ユースではあるが、下手なトラブルには巻き込まれたくないが、さりとて、それ以上の有効な手立てはあるのだろうか。
11)サイバー攻撃は、通常インターネットを介して行われるので、インターネットに接続されていないシステムはサイバー攻撃の被害を受けるリスクはないとされてきたが、(中略)インターネット未接続のシステムでさえサイバー攻撃とは無縁でないことが明らかにされた。p146「サイバー犯罪」とは何か 坂明・四方光
12)スタックスネットとか呼ばれるウィルスでは、他の汎用記録媒体などを通じて、スタンドアロンなシステムにも侵入してくるという。もう使わなくなったウィンドウズXP機を一台、ネットにつながないで使っていこう、などという問題でもなさそうだ。
13)ウィキリークスのジュリアン・アサンジや、エドワード・スノーデンなどという人物たちがもたらす裏情報は、驚愕のひとことに値するが、それでもやはり、そっちの方面の情報も意図も技術もまったく持っていない当ブログとしては、近寄ってはならないゾーンである。
14)できれば盗まれても、攻撃されても、戦争をしかけられても、サッと交わす程度に身の軽さを維持するだけで精いっぱいかもなぁ。
15)サイバー戦争は現実のリスクである。サイバー攻撃はターゲットの機密情報を奪い、通信や指揮統制を混乱させ、実際の物理インフラを破壊し、場合によっては特定の政治目的・意図を達成するための手段と化している。p281「サイバー戦争とその抑止」 川口貴久
16)この方の現在の肩書は「東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 主任研究員」だとか・1985年生まれということだから、現在30歳。個人ユースだから関係ないや、と思ってはみるが、業務の上では、さまざまな重要情報を持たされている。まかり間違って、情報漏えいなどがあれば、ダメージは大きい。そんな時、このような若い人々に、守られているのかな、と、その「抑止」力に期待せざるを得ない。
17)(本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、所属する組織や機関の意見を代弁するものではない)p280 という但し書きはあるものの、空恐ろしい世界と背中合わせに業務しているのだなぁ、とつくづく思う。
18)サイバー戦争を防ぎ、サイバー空間に平和と秩序を構築・維持していくことは自国の国益のみならずグローバルな公益である。もはやサイバー空間へのアクセスとその安定的利用は各国の安全保障や社会・経済的な繁栄に不可欠である。そのため、サイバー空間は万人のアクセスを可能とする開放的な秩序が求められている。p305同上 川口貴久
19)この15冊組の角川インターネット講座の中で、興味を引くのは第2巻「ネットを支えるオープンソース」とか、第15巻「ネットで進化する人類」などである。どんな道具でも、悪意を持って使えば凶器や武器となり、愛と意識を持って使えば、限りなく有効な手立てとなる。
20)このような状況の中、条約とは違う形でサイバー空間に秩序をもたらす手段として検討されているのが規範である。サイバーに関する規範とはサイバー空間において「すべきでないこと」「すべきこと」を明らかにするものである。
サイバー空間における紳士協定である、条約と違うのは罰則がないこと、そしてその場に参加するすべてのもの(企業、個人など)に自制を求める点である。p327「サイバーセキュリティの国際連携と信頼醸成措置」小宮山功一郎・早貸淳子
21)サイバー空間は、最近発見された、人類の夢の新天地である。悪意を持ち、支配や横暴をたくらむ輩が、常に存在することもまた、人間と言うはかない存在の事実ではある。しかしながら、誰もが、夢と希望を持ってその新天地を目ざして歩めるように、配慮し続けることも、地球人社会では可能であるし、不可欠な道である。
| 固定リンク
« 「インターネットの基礎」情報革命を支えるインフラストラクチャー 角川インターネット講座(1) 村井 純他<1> | トップページ | 「週刊ダイヤモンド」保険激変! /商品・生損保・代理店の様変わり »
「19)Yahman Osho」カテゴリの記事
- 今日の気分はこの3冊<11>(2015.04.24)
- 「市民農園体験記」<4>土づくり(2015.04.22)
- 「なまえのない新聞」N0.186 きこりの<星の遊行群>前史(2015.04.06)
- 「せんだい市史通信」第35号 「”せんだい”の原風景を訪ねて」(2015.04.06)
- 「かわいい隠れ家」 ミミ・ザイガー(2015.04.06)
コメント