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2015/02/04

「スモールハウス」 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 高村友也

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「スモールハウス」 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方
高村 友也(著) 2012/08  同文館出版 単行本216p
No.3386★★★★☆

1)どうもこの手の本は、最近読み過ぎて食傷ぎみである。タイトルもいまいちであるし、出版されてから2年半も経過している。いまいち話題性がないのではないか。

2)そう思いつつ、ざっと一読してみれば、これはこれで、なかなか面白い一冊であった。書き手の1982年生まれ東大哲学科卒という肩書もいわくありげである。

3)本書で紹介するような3坪前後の極端に小さな家に(別荘やセカンドハウスとしてではなく)フルタイムで住むということ、これがなかったらムーブメントとは呼ばれていなかったし、メディアの話題を集めることもなかっただろうと思う。「はじめに」「スモール」の本丸を攻める

4)本や読み物としては面白くても、はてさて、読み手、あるいは受け手としてのこちらの事情にフィットするかどうかは、次の次元の問題である。私個人はフルタイムでスモールハウスに住まうことは可能であろうが、家族環境を考えれば、やはり別荘やセカンドハウス、という位置づけになるだろう。

5)一時期流行ったスモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)にも共感したものである。私の現在のライフスタイルはこのビジョンに沿ったものだ。また、そのルーツはアルビン・トフラーの「第三の波」に書かれていたエレクトロニック・コテッジにある。

6)だから、何坪であるとか、何万円でできるとか、そういうところには、実はあまりポイントはない。森の中のコテッジでパソコンを叩いて仕事をし、たまに水上飛行機を駆って大都会にでてビジネスをする。そういうイメージだった。

7)僕は、バックパック一個で生きていけたらどんなに幸せかと思う。僕だけじゃなくて、誰でも、ボヘミアン的というか、スナフキン的というか、バックパックひとつの中に必要なものをすべて詰め込んで、何にも縛られず旅暮らしをしたいと、少しは思うんじゃないだろうか。p065「物をもたない暮らし」

8)私の若い時分のライフスタイルは、これにやや近かった。ボヘミアンとは言わないまでも、バックパックで歩き回ったことは確かである。しかし、それは最高形態だとは言い難い。少なくとも私はもうそのスタイルは「卒業」した。

9)今の私は「贅沢」だ。バックパックの他には、ベーシック・ハイブリッド車が欲しいと思うし、とりあえず先端のスマホとテザリングで繋がったノートパソコンは欲しいと思う。かつてはそういう願望も具象化できなかったが、今の私はそこまでは欲しいと思う。

10)であるなら、どうしてそこに直線的に辿り着かなかったのかというと、私は独り暮らしを望んだのではなく(というか独り暮らしはできない性格のようだ)、家族と暮らしたかったのだ。奥さんと何人かの子供と一緒に生きること。そのスタイルが、私は欲しかった。

11)だから、子生み、子育てを考えた場合、森の中のエレクトロニック・コテッジだけでは役不足である。急な生活用品も必要になるし、各種の病院も必要になる。教育も考えなくてはならなくなるし、学校やコミュニティ・センターなどの存在も必要となる。

12)だから、私はすでに還暦も過ぎた粗大ゴミ化しつつある初期高齢者だが、私の子供世代の、いまから子生み子育てをスタートさせよう、という人々には、とても3坪のスモールハウスなどはお勧めできない。

13)大きな家というのは、毎月必ず出て行く固定費や、定期的にしなければならない雑用、いわば固定労力を、とんでもなく増やす。p068「物を持たない暮らし」

14)何の因果か、人生ドラマの中で、とんでもなく大きな家に、ポツネンと独り暮らすはめになっている人々を何人も知っている。聞いてみれば、そのストーリーにはそれなりの必然性があったのであり、一様に非難できるものではない。だが、どこかでハンドルを切ることはできる筈だったな、と思う。

15)本来、エコロジーに対する意識というのは、個人の内面から湧きあがってくるような生きることに対する感情や要求とは異なる。地球全体の状況を客観的に把握し、このように行動すべきだという規範的な判断をし、その判断に従って、理性によって自分を律し、時として利他的な行動にでる必要がある。p111「個人精神主義とエコロジーの調和」

16)3・11後に、数カ月経過して、まず私が読み始めたのはゲーリー・スナイダーの「地球の家を保つには」エコロジーと精神革命(1975/12 社会思想社)だった。そこには、こうある。 エコロジー(ecology)の”eco”(oikos)の意味は”house”。すなわち地上の家を保つこと(Housekeeping on Earth)。 p226

17)つまり、エコロジーとは「地球の家を保つ」ことなのであり、家とは、地球と人間をつなぐものなのである。だから、必要な適正サイズに家が建築されているのであれば、それを維持するための固定労力などは、もともと惜しんでならないのだ。

18)ライフスタイル、イデオロギー、環境問題などについて考えていくと、「僕らが生きている理由」という難問が、チラチラと見え隠れすることがある。p201「あとがきに代えて 筆者の動機」

19)大きな視点に立ってみれば、本書のタイトル「スモールハウス」 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方、というのは、ちょっとせせこましく矮小なイメージが残る。本書は、もう少し大きなテーマを扱っているのだが、現在のマーケットに出そうとすると、このような「チンケ」なタイトルにならざるを得ないのだろう。

20)それはさておき、このような小さな本にケチをつけたりすることが本題なのではなく、自らがどう生きるかが、問題なのである。このような本を手にとり、また、それをきっかけとして自らのライフスタイルを点検し、再構築していく、そのことこそが、当ブログの重要テーマであるはずである。

21)そう気付かせてくれた一冊ではある。

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