「マネーと国家と僕らの未来」茂木 健一郎, 堀江 貴文, 金杉 肇<1>
「マネーと国家と僕らの未来」 <1>
ハッカーズ、
茂木 健一郎, 堀江 貴文, 金杉 肇 2014/12 廣済堂出版 単行本 197ページNo.3456★★☆☆☆
1)ビットコイン追っかけも、この本が今のところ最後になるか。他の10冊がほとんどマウントゴックスが話題となった2014年春にでているが、この本だけは、満を持す形で、昨年末にやってきた。まだ新刊に属する一冊である。
2)しかるに、この本から得られる新しい情報は少ない。仕組みや騒動、可能性や未来などについては別段にこの本に頼らなくても、大体分かっている内容である。
3)もしこの本に特徴があるとするならば、ここにハッカーズとして登場する人物達ゆえであろう。茂木健一郎にはそれなりに期待もし、それなりに追っかけをしてみたのだが、 「意識とはなにか」 (2003/10 筑摩書房)という命題とは裏腹に、どこかで裏切られた気分が残ったまま、フェードアウトしてしまっていた。
4)その理由は2009年に起きた「脱税」事件である。詳しいことは知らないが、この話題が報道されたあとは、マスメディアへの登場も少なくなったので、それなりに因果関係があったのだろう。マスメディア的には「売れっ子」だったから、逆に「仕事」の方は「荒れて」いたと思う。
5)その彼にビットコインなどの説法を受けると、私なんぞは、なんだか素直に心を開く気にはなれない。
6)そしてそれに与するところの登場人物はホリエモンである。ライブドアとフジテレビなどの激突が報道されたのは2005年のことであった。ああ、あれからすでに10年が経過したのか。しかしながら、10年が経過したからと言ってホリエモンの功罪は、簡単に消えるものではない。
7)いろいろ評価があれど、私としてはそもそもが、その前々年あたりにリナックスをウィンドウズ・ライクに使えるというリンドウズというOSの日本語版とともに登場したホリエモンには、それなりに期待したが、結局はマネーライクな顛末には呆れもしたので、そもそもがあの事件が起きなくても、ガッカリしていたものだ。
8)それに続く金杉とやらの人物像はまったく未知だが、音楽やゲームのプロデューサーということで、まぁ、同類項なのだろう、と推測する。この人たちがハッカーズという名称を使うのは、どうであるのか知らないが、私は、この人たちをハッカーとは見ない。バッカーズ、くらいにボケてくれたら良かったのに。
9)この人たちは盛んに何かを否定している。否定することは構わない。しかしそれを超えるナニカをこの人達が本当に作り出せるかどうかが問題となる。少なくとも、私はこの人たちに期待はしないし、その以前に「信頼」していない。
10)この人たちに説法されなくても、ビットコインをもっと上手に教えてくれる人たちはいくらでもいる。野口悠紀雄「仮想通貨革命」---ビットコインは始まりにすぎない(2014/06 ダイヤモンド社)なんて本は結構真面目。ビットコインの可能性を性善説で教えてくれる。
11)一方、高城泰「ヤバイお金」 ビットコインから始まる真のIT革命(2014/07扶桑社)は、結局なんだかんだ言っても、ビットコインの投機的な性悪論を肯定する形で実体をレポートしている。
12)そもそも、現在では金にまつわる詐欺まがいのことは、それこそ浜の砂子のごとくはびこっている。こと仮想通貨やビットコインだけが正常で、ご清潔である、なんてことはない。むしろ、やっぱり未だに「ヤバイ」のだ。
13)国家や国境がやがて消えていくのは当然のことであり、必然である。しかしながら、性急に、しかも唯一のスーパーヒーローのようにビットコイン待望論を真に受けるのは愚の骨頂である。仮想通貨に未来があるとしても、それは必然なのであって、時間軸に限度をつけなければ、それは当然のことだ。
14)しかしなんでもかんでも、明日でも明後日にでもそうなるかのごとくの「嘘」をまきちらすのはやめてほしい。こいつら、嘘つきだ。
15)あれこれ、あちこちを引用して、ケチをつけておこうと思ったが、それもなんだか面倒くさい。こいつらあんまりマジメじゃないから、キライ。私はもっと根があるマジメな人たちが好きなので、そういう人たちが、もっとキチンとマジメに解説してくれるようになることを期待する。
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