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2015/05/24

「男はつらいよ 推敲の謎」 杉下元明<3>

<2>からつづく

男はつらいよ推敲の謎
「男はつらいよ 推敲の謎」 <3>
杉下元明 2009/05 新典社 新書 159p

1)NHKBSで全48作品の再放送を行ったのはすでに10年前のことであった。そして、この本に出会ったのもすでに6年前のことである。いつか全作品を一通り見てやろうというプランは、今回、ようやく達成されたのであった。

2)再読のないまま過ぎてしまったこの本であるが、全48作に均等に触れているところは素晴らしいが、ある意味、凹凸がなくメリハリがない。物足りないといえば物足りないのだが、データブックとして活用しようというなら、これはこれ以上にないくらい便利な一冊である。

3)大人気の映画<男はつらいよ>シリーズには決定稿だけではなく、準備稿も含め数多くの脚本が残されていた。

 推敲のなかで、ストーリーやキャラクターはどのように練り上げられていったのか。

 昭和四十四年八月に封切りの第一作から平成七年十二月の第四十八作まで、全四十八作それぞれの関連原稿を比較し、「寅さん」の生まれる過程を追いかける。
表紙見返し

4)寅シリーズは一作一作が素晴らしい出来だが、この全48作が一つの長編映画と考えると、この長期期間に渡るストーリーには破綻がみられないこともない。例えば、「とらや」のおいちゃんがなんと三人の役者も変わっていたとか、「とらや」そのものが後半では「くるま菓子舗」と名前が変わっていたり。

5)しかし、それらは決定的な矛盾とか破綻とかではない。許容範囲のエピソード、あるいは積極的にさえ評価しうるプラス要素であったりする。それらを含めて、寅シリーズ全体を俯瞰するなら、このコンパクトな新書本は実に重宝する一冊である。

6)おそらく、当ブログとしては、時間はかかったが、この本に出会わなかったら、全48作を見直そうというきっかけを得ることはなかなか出来なかったのではないだろうか。

7)実に長い時間かかった寅再視聴のチャンスだったが、今回、こうして録画DVDを再整理しながらみることができたのは、幸いだった。

8)いずれあらためて、三視聴の機会も訪れるであろう。

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