「男はつらいよ」第25作 寅次郎ハイビスカスの花
「男はつらいよ」第25作 寅次郎ハイビスカスの花
山田洋次(監督) 渥美清(出演), 浅丘ルリ子(出演), 1980/08 松竹 DVD 106 分No.3504★★★★★
1)シリーズ第25作。全48作の後半がここから始まる。48作を一つの作品と考えた場合、このあたりがひとつのピークになるのだが、撮影されて、劇場で見ている段階では、そんなことはまったく考えてなかっただろう。
2)シリーズ化されているのだから、次回もありそうに思うが、これが最終回、のつもりでみんな作っていたし、観ていたのではないだろうか。そう思うくらい、サイコーの出来だと思う。
3)浅丘ルリ子は必ずしも気になる女優ではなかったが、今回あらためてこの作品を見ると、とても好きになった。私もようやくこの女優さんのよさが分かるようになったというべきだろうか。
4)1980/08と言えば、私は農業の研修で農家に住み込みさていよいよ本格的な修行か、と思いつつ、すぐに病気になり長期入院となる。それほどの大病を患うとは全然思っていなかったけど、人生はいろいろなドラマを創り出す。
5)リリーが沖縄の病院に臥す時、私もまた同時期に病院のベットに臥していた日々を想った。沖縄のシーンでは「ハイサイおじさん」が流れていた。沖縄には生涯一回しかいったことないが、1972年の風景とこの1980年の風景では、おそらく、外から見る私のようなものには、まったく同じように見える。南国のウチナンチュー言葉と、米軍基地。
6)なんだってこいつ、女ごころが分からないんだろう、なんても思ってみたが、寅は一生旅人なんだな。やはり所帯をもつような分際ではないのだ。リリーも、ホントに素敵だが、やはりリリーは寅の恋人なのだろう。最終48作目はリリーとの再会だが、やはり、寅の恋人としては、もっともふさわしい存在だ。
7)人生が重荷になってしまう時もあるが、寅を見ていると、すこし軽減されるように思う。寅って馬鹿だなぁ、ドジだなぁ、もうすこしこうすればいいのに、などと思いつつ、綺麗な風景を見たり、美しい女優さんに目を奪われたりしながら、いつか涙目になっている自分がいる。いつもことである。
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