「男はつらいよ」第33作 夜霧にむせぶ寅次郎 山田洋次監督
「男はつらいよ」第33作 夜霧にむせぶ寅次郎
山田洋次(監督) 渥美清(出演), 中原理恵(出演), 1984/08 松竹
DVD 102分
No.3515★★★★★
1)この作品には何度か花嫁姿と結婚式シーンが登場する。まずは、裏の朝日印刷所のタコ社長の娘がようやく結婚することになり、白無垢の和装の姿を披露する。
2)二番目は、北海道の旅で知り合った中原理恵扮するフーテンの風子もまた、結局は最後はウェディングドレスに身をつつむ。いつも三枚目を務めるのは、われらがフーテンの寅だが、なんともはかなくも愛すべき存在ではある。
3)この作品、出来としては普通だが、なんとも、わが「フーテン」ライフのことを考えるきっかけを作ってくれたという意味では、★5にしておいた。
4)1984/08 と言えば、前年に結婚した我が家は子育てに忙しく、やがてどうせならと第二子を考えていた時期にあたる。私自身は自らを「フーテン」と捉えたことはないが、旅から旅への人生をそう呼ぶのなら、まぁ、それに当たらないこともないと思う。
5)しかしながら、私たちの旅は常に、自らの根拠地を固定したうえでの旅であった。だから、純粋にそれとは言えない。しかし、その根拠地なるものが、本当に固定した安定基地であったとは言い難い。
6)旅から旅への暮らしにも自信が持てないための、ひとつの安全弁であったようにも思うので、まぁ、臆病者の生き方だったかもしれない。
7)しかし、この年代を境に、私の人生は、漂白から定着への方向性に大きく舵を取ったことは間違いない。
8)フーテンと蔑称されてもしかたがないような時代には、自らをそれと認めることは出来なかったが、むしろそのスタイルから大きく「足を洗う」段階になって、ようやくそのようなライフスタイルに、純粋に、無邪気に向き合うことができるようになった、というべきか。
9)とはいうもの、87年には1歳と3歳の子供をつれてインドへ4ヵ月の旅をするという、再「漂白」の旅をするわけだから、まだまだ「フーテン」は捨てきれなかったものと思われる。
10)90年にはOshoが亡くなり、また仕事も地元密着型の現在につづくスタイルに固定してからは、旅から旅へ人生には、ある意味、あこがれることはなくなった。
11)いづれにせよ、リアルに寅を「発見」するのは、私の人生においては、もう少しあとのタイミングになる。おそらく1985~6年頃だったように記憶する。
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